|
荒木一成さん 恐竜造形師
1961年大阪府生まれ。 |
恐竜復元の歴史を遡る Vol.2 Dinosaur Oldies
今回フェバリットコレクションとのコラボレートで、1950年代のティラノサウルスとイグアノドンの立体復元が実現することになりました。原型制作を担当した荒木一成氏に、Dinosaur Oldiesについて尋ねてみました。
- ティラノサウルス 50's・イグアノドン 50'sは、1950年代の復元画を基に、荒木一成さんの解釈で立体復元したモデルですが、次の作品は?
-
ブラキオサウルスとトリケラトプスです。
トリケラトプスはティラノサウルスと人気を二分する恐竜ですが、私はトリケラトプスが一番好きです。
真直ぐに敵を狙う三本の角、力強い四肢、現代の復元のように頬があるタイプもいいのですが、口角の裂けた、精悍な顔付きのトリケラトプスも魅力的です。 - 立体復元される時に基礎となった原画は?
-
私のトリケラトプスの原体験はニーブ・パーカーのイラストです。
大英博物館の骨格標本の復元画だったと思いますが、その標本通り静的なイメージになっています。イラストでは体表はかなりフラットに描かれていますが、オールディーズのモデルではもっとゴツゴツした感じに仕上げました。同時期のチェコの恐竜画家、ズデネック・ブリアンのイメージを加えたものです。ですから Oldies 50'sということになります。 - ブラキオサウルスもOldies 50'sですか?
-
そうです。あまりにも有名なズデネック・ブリアンの復元画を基本にしています。ブラキオサウルスはとても巨大で重い恐竜だったので、主な生活圏は水中であったという説に基づいたイラストです。
長い間この絵がコピーされ続けました。真偽は別にして、実は私はこのブラキオサウルスが最もブラキオらしいスタイルと今でも感じています。
イラストを基にしているので一方向から見てそのプロポーションになっても、他方から見るとプロポーションが崩れることもあります。あくまで、どこから見ても、オールディーズタイプのブラキオらしいスタイルになるよう、苦労しました。
ブラキオサウルスは他の竜脚類と全く異なったシルエットを持つ、とても魅力的な恐竜です。 - 「ブラキオサウルスらしい」というのは、ある意味、荒木さんがオールディーズに入れ込むモチベーションですよね。
-
最近の頚椎骨の構造の研究から、水平に近い首の復元がありますが、このオールディーズタイプの高く上がった頭から肩、腰に続く、流れる様なラインは捨てがたい魅力です。
反対に意外だったのが、トリケラトプスで十数年前に咬筋の復元方法で、角竜の顔のイメージがガラッ!と変わった時期がありましたが……、トリケラトプスの基本的なイメージは、他の恐竜と比べると過去と現在の差異は少ないということでした。 -
原画を解釈し「恐竜復元の歴史を遡る」という作業は、ご自身にとっては、どういう意味があるのでしょう。
Dinosaur Oldiesのことをもう一度考えてみると、芸術、アートという部分を抜きにしては語れないと思うのですが……。 -
恐竜と言う未知の動物を復元することは、一方では科学的な証拠による事実の積み重ね、これは、年代が進むにつれ蓄積されていきますが、もう一方、アーティストのセンスと言うものが重要な部分を占めていると思います。
それは、いかに恐竜をかつて地球に生息していた「動物」として復元できるかというセンスです。
このセンスは科学の実績と違い、年代が古いから劣っている、新しいから優れているとは、決して言えません。
当時の画家たちの「動物=恐竜」と描いたセンスは、時代を超えて素晴らしいものです。なぜなら、当時の人たちは、私も含め、彼らの絵に感動し恐竜に魅了されたからです。
過去の復元画が「古い」「間違った」という言葉で、葬られ、若い世代の恐竜ファンが、その価値を見誤ったり、存在すら知らないというのは、とても悲しいことです。
その意味で、私にとっても、今回の制作は恐竜の現在の姿を探る上でも大変貴重な体験でした。
今、かつての画家たちに、現代の科学知識で恐竜を描いてもらったらどんなに面白いかとも思ってしまいます。
(インタビュー:フェバリット編集部)
















