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エッセイ

第52回 島で小型化した竜脚類

竜脚類といえば超巨大な姿を思い浮かべますが、ドイツでアフリカゾウほどの小さな竜脚類の化石が発見されました。島に棲んでいたことから、小さく進化したと考えられています。


ヨーロッパのトカゲ

化石が最初に発見されたのは、1998年でした。ドイツ北部の採石場にあるジュラ紀後期(約1億5000万年前)の、当時海だった海成層からです。同じ場所からは、ワニやカメの化石も発見されています。

全長1.7メートルの亜成体から6.2メートルの成体まで、それぞれの成長段階の11体の化石が見つかっています。幼体から成体まで一緒になり、群れで暮らしていたようです。 頭骨も見つかっています。なんと、竜脚類の頭部が見つかるのはヨーロッパでは初めてなのだそうです。 ブラキオサウルスに近縁で、ヨーロッパのトカゲという意味のEuropasaurusholgeri(エウロパサウルス・ホルゲリ)と命名されています。日本では、基本的に学名のローマ字読みですが、英語風に発音すると、ヨーロッパサウルスです。 上は発見されている化石から組み立てた骨格図です。 右後ろに薄く見えるのは、体長25メートルのブラキオサウルスの前脚です。エウロパサウルスの小ささがわかります。 なお、アフリカゾウの体長は6〜7.5メートルですから、ほぼ同じサイズですね。


小さい竜脚類

最も小さな竜脚類としては、中国・新疆ウイグル自治区にあるジュラ紀の地層から発見されたベルサウルスが知られています。体長は4.5メートルほどですが、幼体と考えられています。 ジンバブエで発見されたブルカノドン(ジュラ紀)や、タイで発見されたイサノサウルス(三畳紀後期)の体長は6.5メートルほどです。もっとも、これらは大型に進化する以前の原始的なタイプの竜脚類です。


なぜ成体とわかるのか

エウロパサウルスも発見当初は、若い固体の化石と考えられていました。サイズが小型だったからです。 しかし、骨を組織学的に調べたところ、小型ながら成体とわかりました。骨には木の年輪のように成長線が残りますが、その線の幅が外側ほど狭くなっており、成長がほぼ停止した成体だったことがわかったのです。


小さく進化した理由

現在のドイツあたりがある場所は、1億5000万年前は比較的浅い海に小さな島々が点々とする多島海でした。ドイツでは、魚竜やアンモナイトの化石は多数発見されますが、恐竜化石が少ない理由です。 エウロパサウルスが棲んでいた環境は、海抜の低い比較的小さな島です。元々、エサとなる植物が少ない上に、海面が上がって島の面積が小さくなり、いっそう植物が乏しくなっていったのです。 そのような環境で生き延びていくには小さく進化せざるを得なかったのです。しかも極めて急激に小型化したようです。骨の組織的研究から、成長速度を遅らせて大型化しないようになったと考えられています。 絶滅を避けるため、乏しいエサを分け合うように小型化していくなんて、したたかな知恵です。エサとなる竜脚類も小さくなったのですから、獣脚類も小型化したのでしょうか。島で進化した小さなアロサウルス類が見つかれば面白いですね。


参考:Nature 441, 739-741. 2006

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