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エッセイ

第54回 T.rexの平均寿命

2005年の日本人の平均寿命、男性は、78.53歳で、女性は85.49歳で、6年ぶりにほんの少し短くなったと発表されています。インフルエンザが流行したことが影響したようです。
では、恐竜の平均寿命はどれくらい? なんて思いますが、最近、ティラノサウルス類の寿命についての研究結果が報告されています。 T.rex といえば、大きな成体が闊歩するシーンばかりが再現されていますが、年齢ごとの生存率を調べると、結構、若い個体の方が多かったようです。大きな T.rex はごくまれで、若い固体がうろうろしていたのが一般的だったのかもしれませんね。


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生存率曲線

フロリダ州立大の研究者らが、T.rex の仲間のアルバートサウルスの、少なくとも22体分の骨に残る成長線から、年齢ごとの生存率を推定したのです。年齢は、2歳から28歳の個体と推定されています。
左図は、それぞれの動物の生存率を示しています。 縦軸は生存数で、対数メモリであることには注意が必要です。黄色い線が生存数が半分になるラインです。横軸は寿命率(%)で、最高寿命に対する比率です。


平均寿命

ところで、動物の長生きの指標として、平均寿命で比較できるのでしょうか。
左図で、平均寿命は黄色のラインとの交点となりますから、ワニも鳥類もT.rex も短く、半分は寿命の20%にも満たないうちに死んでしまいます。
一方、ヒトの場合、乳幼児死亡率が低いので、平均寿命は長くなります。
つまり、平均寿命は、幼体(乳幼児)の生存率に大きく関係し、生存率曲線のパターンが異なる動物間では、比較指数として適当ではありません。
幼体(乳幼児)の生存率さえあげれば、中高年とは関係なく、平均寿命は延びるのです。発展途上国と同じですね。


2歳以降は、ヒト型の生存率カーブ

ところが、10%生存率となると T.rex は、ワニや鳥類と異なってきます。どちらかというとヒトに近いカーブです。若い個体の生存率が比較的高いのです。
上の図で、T.rex は赤い線で示しています。2歳までの死亡率は60%と高く、それを超えると13歳までには2-7%程度に低下し、その後、14歳から23歳までには、23%に上昇するそうです。28歳まで生き延びるのは2%程度としています。


若い個体が多かった

なぜ2歳で死亡率が低くなるのか? その理由として、この年齢で他の捕食動物の餌食となりくいサイズに達するからとしています。
では、なぜ14歳以降の生存率が低くなるのか? それは、成体サイズに達すると性的に成熟することが関係しているようです。繁殖をめぐる争いでの傷やストレス、絶食などで、寿命が短くなると考えられています。
その理由はともかくとして、上のカーブのとおりだとすると、白亜紀で見かけるほとんどの T.rex は平均寿命の半分以下の若い個体だったと思われます。大きな成体となると、対数的に激減しますから、それらが闊歩するシーンはごくまれだったことでしょう。



参考:フロリダ州立大

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