Vol.16 ついに陽の目を見た!「ゴルゴサウルス」
先日の恐竜倶楽部の定例飲み会の席で、映画「ウォーキングwithダイナソー」の話題が肴になりました。「木梨の幼年期のパッチの吹替は無理が有った。」「翼竜トリオは良い味を出していた。」などと言う一般的?な感想以外にも「登場する鎧竜はどう見てもエドモントニア(英語の説明はアンキロサウルス類)なのに、日本語訳はアンキロサウルスになっている。しかもプログラムにはご丁寧に、ノドサウルス科には無い尾のこん棒の説明まで書かれている。こんな初歩的なミスが許されていいのか!」「何故エドモントニアと表記しなかったのか?」「ミネラルフェアで買ったらウン10万円もするゴルゴサウルスの歯の化石を、車のボンネットに置き忘れるなんて…ありえない!(これは私ですが)」とまあ、いかにも恐竜倶楽部の宴会らしい意見が飛び交っていました。
それはともかく、恐竜映画としては、しゃべくり動物立身出世物語という使い古されたストーリーを補って余りある、登場する恐竜への科学的こだわりと、圧倒的な映像で、私的にはかなり高得点です。
で、気になるグッズですが、日本ではトイザらスが、そこそこ動いて(海洋堂のリボルテックティラノには遠く及びませんが)声も出す4種類の20cmクラスのアクション・フィギュア(写真1)と、袋に入っていて選べない、食玩サイズのミニフィギュア12種類(写真2)を輸入販売しています。
特にミニフィギュアは、この映画ならではのアレクソルニス(鳥類)、ヘスペロニクス(ドロマエオサウルス類)パークソサウルス(ヒプシロフォドン類)アルファドン(有袋類)が含まれていて是非ともコンプリートしたいところです。(私は残念ながらあと少し。)本国イギリスではその他、ゲームやゴルゴサウルスの足のおもちゃ?やミニフィギュアのパキリノファミリー3匹セット、そして真打とも言うべき45cm程もあるゴルゴサウルスのアクションフィギュア(写真3*アマゾンで手に入れました)があります。しかし「ジュラシック・パーク」やディズニーの「ダイナソー」に比べると、はるかに少ないグッズ数で、私としては胸を撫で下ろしています。
さて、この映画で初めて主役クラスに抜擢されたゴルゴサウルス、その昔はこんな姿でした(写真4)。
画像中央の「恐竜全百科(1977)」によると「体が前かがみで、敏しょうに動き回ることはできなかった。腹部が異常にふくらんでいた。」つまり水平姿勢と腹肋骨のせいでノロマにされてしまった…正に隔世の感有りですね。これでゴジラ立ちしていなければ時代を先取りしていたのに…残念。
この頃の復元図をかなり忠実に立体化したのがクローバーの1/50ソフビモデルです(写真5)。
クローバーについては「恐竜秘宝館Vol.38」をご覧ください。
次に模型化さたゴルゴサウルスは、80年代中ごろの海洋堂・荒木一成さん原型の1/35レジンキット。後にソフビ化され、その時はアルバートサウルスになっていました。この時期、ゴルゴサウルスはアルバートサウルスと同種とみなされ消滅していたのです。写真(写真6)は改造して口を閉じてしまったレジンキット。(写真7)はソフビキットで、オリジナルスタイルと、無理やり水平姿勢を取らせたもの。というわけで我家には都合3匹もいるのです。
そして1999年、松村しのぶさんがゴルゴサウルス復活記念?胸像を発表します(写真8)。
海洋堂からポリストーン完成品として発売され、現在でも入手可能です。
我家のゴルゴはこれだけですが「恐竜おもちゃの博物館」にこんなのがいました。
これだけではあまりに寂しいので,近縁のアルバートサウルスのフィギュアも紹介しましょう。(写真9)は以前にも1度登場(秘宝館Vol.64)したSINZEN造形研究所のレジンキット。
(写真10)は徳川広和さん原型のX-Plus製で50cm程もあるソフビ完成品。
(写真11)はお馴染みサファリの製品ですが、なぜか日本には輸入されていないらしく、あまり見かけないものです。(ヤフオクで手に入れました。傷だらけですが…。)
*私はあまり把握していないのですが、あの「カバヤ・ほねほねザウルス」シリーズには、ゴルゴサウルスもアルバートサウルスもあります。侮れないシリーズですが、あそこまでディフォルメされていると集めるのに二の足を踏んでしまいます。
ゴルゴサウルスやアルバートサウルスは、ティラノの頭蓋骨レプリカ(スタンとか)を飾りたいけどスペースが無い(お金の事は置いておいて)という向きにはお手頃なサイズ。で、我家にはピアノの上にアルバートサウルス(写真12)、階段の壁にゴルゴサウルス( libratus AMNH5664 )(写真13)がいますが、この仲間にブラックヒルズ製の6800ドルもする、無茶カッコいいゴルゴサウルスを加えるのが、目下の見果てぬ夢です。
《おまけ》最近手に入れたちょっと変った物
(写真14)はヤフオクで手に入れたゴムでできた骨格3種ですが、このうちイグアノドンは実に30年程前、確かくじ引きの景品だったものを頼み込んで2体売ってもらった物で、この手の物としては意外な程良く出来ているのに何故か恥骨と坐骨が無く、若気の至りで自作した(写真15)思い出の一品です。
(写真16)は伊豆急伊豆高原駅構内の土産雑貨店で見つけた木製のディフォルメフィギュア。地元のアーティストの手作りの様ですが、なんとプロトアーケオプテリクスの名が!4枚翼で飛んでいるのでミクロラプトルを名乗った方が良いかとも思いますが、とても綺麗でいい感じです。
田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。