新恐竜秘宝館

Vol.6 四半世紀の悔恨:STARLUXの恐竜をとり逃がす

私の長いコレクター人生で「何故あの時無理をしてでも買わなかったのか?」という悔いが残る品物がいくつか有ります。その記憶に残る最初の物が、今回ご紹介するフランスのSTARLUX社製の古生物シリーズでした。ちなみに最新の痛恨の品は数時間前に逃した、ネットオークションに出品された恐竜の化石…つまり今、ガックリした状態でこの文章を書いているわけです。

恐竜を収集し始めてから間もない70年代の終わり頃のある日、池袋の模型店「ポスト・ホビー」で10cm前後の小さな古生物50体程が1体数百円で売られているのを見つけ、全部買おうか散々迷った挙句、とりあえず気に入った順に半分だけ買って帰りました。その一瞬の弱気が、四半世紀を経た今でもそのコレクション(写真1、2…これだけです)を見る度に後悔の念を呼び起こす事になろうとは!数日後、やはりどうしても残りが欲しくて店に行った時はきれいさっぱり無くなっていました。同類の人間が買い占めたのか…それ以来お目に掛かっていません。「迷ったら買え!」が、ここから得た教訓ですが、その後も同じ過ちを何度も繰り返しています。


この古生物シリーズがフランスのSTARLUX社の物だという事は、前回紹介したコレクター本で判明しました。そのリストによると三葉虫から化石人類までを網羅した100種類に及ぶ膨大なシリーズで、近年、海洋堂の「チョコラザウルス・シリーズ」(約90種)やオーストラリアの「ヤウイ・ロスキングダム・シリーズ」(116種・写真3)が出るまでは、他に類を見ないスケールでした。何とか死ぬまでに100体ずらりと目の前に並べてみたいものです。まあ、こういうコレクションの楽しみが残っているというのも、また良い事なのかも知れませんね。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。