Vol.29 バリ島の恐竜が進化しはじめた!
先日、バリ島帰りの友人から恐竜の土産をもらい、ちょっとびっくりしました。バリ島産恐竜自体はさほど珍しい訳では無く、街のエスニックショップ等でとぼけた顔(写真1)で鎮座したりしています。大抵は木彫りで、独創的なディフォルメ、と言うより、恐竜の知識ゼロ故の奔放な造型で、それなりに味があるのですが(写真2)、飾り棚の中央には置けない代物でした。
余談ですが、例の恐竜オーパーツ、アカンバロの恐竜土偶など、恐竜の知識がない者が捏造するとこうなるという良い見本でしょう。恐竜土偶を評して「恐竜と瓜二つ、実物を見て作ったしか思えない。」と言う人達がいますが笑止千万。例えば写真3は代表的な恐竜土偶を忠実にミニチュア化した食玩で、アマルガサウルスとの事ですが、これがアマルガサウルスの真の姿だったら、現代の恐竜研究者は全員フレーミング・クリフから飛び降りなければならないでしょう。
とは言え、コレクターとしては、ひとつ位は本物(?)の恐竜土偶を手に入れたいところなのですが。
さて、恐竜土偶よりは幾分まし、というレベルのほのぼのとしたバリ恐竜だったのですが、今回の物は一味違いました。(写真4、5)復元こそ古いのですが、その躍動感、筋肉の表現、歯や爪などのディテイルもなかなかで、その上で顔つき等にバリテイストを程好く残しているという実に好ましい仕上がり。バリ島の木彫り職人も恐竜に目覚めたのでしょうか?さらに写真6の竜脚類のシルバー製ブローチなど、どこに出しても恥ずかしくないプロポーションですね。 長い間平和の中でまどろんできた南の島の恐竜が、このところのテロ等の治安悪化に進化圧を受け進化を始めた…なんてこじつけてみました。
田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。