Vol.57 恐竜プラモデル史 2
1971年に、フィギュア物のプラモデルに定評があったオーロラ社から、名高い「Prehistric Scenes 」シリーズが発売されます。「秘宝館Vol.10」でも取り上げましたが、今回詳細写真付きで再登場です。私が名著「大恐竜時代」(デズモンド著。温血説を最初に一般に知らしめた本で、この本に影響を受けて恐竜の道に入った人は多い。たしか荒木一成さんもそのひとり)によって大人の恐竜マニアとして覚醒したのが1976年なので、その時点ではもうあまり市場に残っておらず10数年がかりで模型屋を捜し歩き行き着いた先は「何でも鑑定団」。そのいきさつや「Prehistric Scenes 」シリーズの概要は「Vol.10」を見ていただくとして、早速写真をご覧下さい。
このシリーズはティラノサウルスを除き全てジオラマベース付きで、そのベースが連結できるようになっています。写真 1は説明書(写真 2)通りに並べてみたもの(未完成の物も混ざっていますが…)。差し渡し1.3mほどあります。
写真 3:クロマニヨン女とホラアナ熊。熊の足元に転がっているのは何気に出来が良い熊の頭骨。こうした小物の充実振りが、このシリーズの売りのひとつです。
写真 4:タールピット。当初はコンドルが毛サイの肉をくわえていたのですが何処かに落としてしまったようで…。
写真 5:ネアンデルタール人とスミロドン。スミロドンの足元には食べ残した鹿(?)の足が…
写真 6:恐鳥フォルスラコス。孵ったばかりのヒナとそれを狙う蛇。蛇は双頭だったのですが遊び心を解さなかった当時の私は首を1本切り落としてしまいました。残念!しかも写真を撮り終え片付けてから気付いたのですが、蛇は本来はクロマニヨン女を襲っていたもので、恐鳥の付属品は飛行トカゲ、キュネオサウルスだった…。仕方なく右上に合成しておきました。
写真 7:マンモス。毛の表現が素晴らしいので結構丹念に塗リ分けているのにベースは何故か未塗装。本体で力尽きたのか?
写真 8:角竜2体。頭以外は共通です。トリケラは下顎を全面改造、スティラコも肉食みたいに尖っていた歯をいじっています。余計な事をするなってば!
写真 9:アロサウルス。見るからに凶暴そうです。オリジナルはヨダレまで垂らしていましたが、若気の至りでついカットしてしまいました。
写真 10:プテラノドン。吊るすことも出来るようになっています。オプションで破れた羽のパーツが付いているのはご愛嬌。
写真 11:このアンキロサウルスとディメトロドンは74年と75年にシリーズに追加された物。文句なしの出来です。頭の上下、尻尾の上下(アンキロ)、顎の開閉(ディメトロ)等のギミックが付いていますが、プロポーションに違和感なし。写真は80年代にモノグラム社から再販された物を組んだのですが、何故かベースが半分しか付属していなかったので、写真 1の集合写真ではオリジナルのベースに乗せています。
写真 12、写真 13は、やはり75年発売の巨大なティラノサウルス。今風に尻尾を伸ばせば90cm以上になりそうです。大きすぎるせいかジオラマベースは付いていません。尾が2段階に曲がり頭が上下し顎が開閉します。目の部分が別パーツになっていて穴が開いていたので、当時ドールアイの存在を知らなかった私は、ガシャポンのカプセルの裏から目玉を描いて取り付けてみました(写真 14)。なかなか上手くいったとは思うのですが、オリジナル(猫目でしかも蛍光)の凄みが損なわれたのは否めません。ちなみにガシャポンの中身はあのスーパーカー消しゴムでした。作例はモノグラム再販のキットですが、オリジナルは強烈な成型色の写真 15。パッケージの大きさは66×42cmもあります。
オーロラは1977年に倒産しましたが、ファンは今でも多く、有名なモンスターシリーズのオリジナルなどはびっくりするような値段で取引されています。復刻版も金型を受け継いだモノグラム、レベル等のメーカーから発売され、「Prehistric Scenes 」シリーズからも恐竜とマンモスが80年〜90年代に再販されました。珍しい所では、レベルから1994年に発売の、食玩サイズにそのままスケールダウンされた縮小版もあります(写真 16)。パッケージの大きさは11×9cm。
2000年にはオーロラのテイストを残した新作の恐竜3体が「PLAYING MANTIS」というメーカーから「オーロラ・ブランド」で発売されました(写真 17)。
田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。