JOURNAL

Birth of Stuffed model:ぬいぐるみシリーズ

Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 Vol.5

Vol.1
" スタッフドモデル "
フェバリットのぬいぐるみ

もっと身近に恐竜を感じられるモデルとして「ぬいぐるみ」が新たなフェバリットのシリーズに加わります。

これまでのフィギュアでは「かっこいい恐竜」を表現してきましたが、新たなぬいぐるみシリーズは子どもから大人まで、みんなで親しんでもらえるような「かわいい恐竜」をコンセプトとして制作がスタートしました。
パレオアーティスト/恐竜・古生物復元模型作家の徳川広和氏と共に開発を進め、ぬいぐるみの安心感と優しさ、質感のなかに、フェバリットらしく生物としての特徴を捉えて恐竜の気配を表現することで、恐竜の個性と愛らしさが共存したモデルの開発を目指しました。 フェバリットの想いが徳川氏によって描かれ、少しづつカタチになり始めています。

フェバリット初のぬいぐるみは、どんなストーリーが広がっていくのでしょうか。記事は隔週で更新されますので、完成までの道のりをお楽しみください。


Vol.2
姿が現れ始めた恐竜たち

個性と愛らしさが共存した「かわいい恐竜」をテーマに、フェバリットが思い描いたイメージを徳川氏が平面上でカタチにしていきます。爪の本数、歯のイメージ、角や帆など、その恐竜の特徴をデフォルメされた中で表現され、愛嬌のある恐竜たちの表情が現れ始めました。

気になる恐竜のラインナップは知名度と人気の高い5種類が登場。恐竜の代名詞ティラノサウルスと3本の角がトレードマークのトリケラトプス。人気の大型恐竜ブラキオサウルス。背中の骨板が個性的なステゴサウルスに、半水棲の姿をモチーフにしたスピノサウルス。

カラーリングは、日常に馴染みやすい落ち着いたトーンをベースに、肉食、植物食、それぞれの恐竜の雰囲気に合ったイメージを徳川氏と共にチョイスしました。大きさは、手に取ったり飾ったりしやすい30cm程度に設定し、親しみやすいサイズ感で展開していきます。 

立体化に向けて準備は整いました。次はいよいよサンプル制作が始まります。


Vol.3
いよいよ立体化へ


イラストや設計図を元に、恐竜たちが立体化され、1stサンプルが姿を現しました。「かわいい恐竜」をコンセプトとしたぬいぐるみは、これまでのフェバリットで制作してきたフィギュアとは異なった愛嬌や質感を纏い、その存在感が感じられるようになってきました。平面上ではわからないディテールや質感、ボリューム感を手にとって確かめながら、改良点を見出していきます。

まずは頭部の型紙を修正しながら形状やバランス、サイズ感を整えていきます。表情を印象付ける目の周りは特に慎重に、眼球の大きさの微調整や、立体感のあるまぶたを作ることで可愛らしさと共に力強い印象を加えていきます。その後、体全体の輪郭、バランス、爪や指などのディテールの修正に取り掛かっていきます。

実は、スタッフドモデルにはもう1つのコンセプトが存在していました。それは、自立可能であること。2脚歩行の恐竜も4脚歩行の恐竜も共に自立できるバランスで設計され、ぬいぐるみという表現の中で、本来の恐竜としてのスタイルにもこだわったフェバリットのモノづくりへの想いです。

ティラノサウルスの他にも続々サンプルが仕上がってきました。完成に向けてラストスパートです。


Vol.4
完成した5種のぬいぐるみたち


サンプルの修正、改善を繰り返し、フェバリット初のぬいぐるみシリーズ "スタッフドモデル" 5種が完成となりました。可愛らしさと恐竜の個性が共存し、ぬいぐるみの優しい質感と相まってフェバリットで最も親しみやすいモデルとなったのではないでしょうか。

恐竜の個性であると共にフェバリットのこだわりとして、可愛らしくデフォルメされたなかでも、爪の本数や歯のイメージ、角や帆などそれぞれの生物の特徴を表現しました。

遊んだり飾ったり楽しみ方が広がってくれるように、また本来の恐竜の姿がそうであるように、自立可能なバランスでデザインされています。気軽に手にとって、日常の中で恐竜たちと仲良くなれるきっかけになれば幸いです。

ティラノサウルス
ティラノサウルスは大きな頭部に歯や爪のイメージが強調され、可愛らしさと力強さが現れています。

トリケラトプス
どっしりとした体格のトリケラトプスは、トレードマークの3本の角の他に、フリルやクチバシにもこだわりました。

ブラキオサウルス
ブラキオサウルスは長い首だけではなく、前脚と後脚の長さのバランスや頭頂部のコブも立体的に再現しています。

ステゴサウルス
2列の背中の骨板や尾のスパイクなど、個性的なステゴサウルスの特徴をしっかりと表現しました。

スピノサウルス
半水棲の姿をモチーフにしたスピノサウルスは、細長いフォルムと特徴的な帆の形状も再現しています。

発売時期:2025年7月中旬以降


Vol.5
スタッフドモデル インタビュー


開発を共に進めてきた、総合監修者・徳川広和氏に“かわいい恐竜”スタッフドモデルについて伺いました。



――ぬいぐるみはデフォルメされた独特の世界観を持ち、その愛嬌とやわらかな雰囲気は、小さなお子様から大人の方まで幅広い世代に親しまれています。今回フェバリットでは「スタッフドモデル」として新たにぬいぐるみシリーズがラインナップに加わりますが、徳川さんはぬいぐるみに対してどのような印象をお持ちでしょうか。

「恐竜・動物をぬいぐるみの素材やサイズに合わせてどのようにデザインするのか」にはずっと興味があり、国内での商品は勿論、海外の博物館を訪れたときにミュージアムショップでぬいぐるみ商品を見るのが楽しみの一つです。その中で「自分だったらこうするかな」というイメージもいろいろと出来上がってきていました。今回のスタッフドモデルは、そうやって長年自分のなかで温めてきたぬいぐるみ恐竜像を試す事が出来る、念願の機会になりました。


――「かわいい恐竜」をテーマにしつつも、恐竜本来の特徴を捉えることで、個性と愛らしさが共存するモデルが誕生しました。徳川さんには、ベースとなるイラスト制作から恐竜の特徴とその表現まで幅広く総合的な監修をご担当いただきました。それぞれの恐竜について、表現したかったポイントや見どころをお聞かせください。

<ティラノサウルス>

遊ぶときに短時間でも2本足で自立し尻尾がつかない状態で、「自立できるデザインがぬいぐるみで出来るか試して見たい」というのが最初のコンセプトです。そのコンセプトでまず第一試作ができあがった段階で自立が出来そうだという事になり、今度はそれを損なわないように全身のデザインを合わせていきました。頭の大きさや尻尾の長さはそこから逆算的に決まった感じです。そうやって決まったプロポーションに細かいティラノサウルスらしさを加えました。

<トリケラトプス>

「角やフリル等のハッキリした特徴と手足や尻尾も細長くない」という事でぬいぐるみにし易い恐竜でした。デザインはティラノサウルスが先に進んでいましたので、ティラノサウルスと並べても違和感のない雰囲気を目指しました。

<ブラキオサウルス>

トリケラトプスと違い比較的シンプルな姿の恐竜です。それだけにシルエットだけでブラキオサウルスと分かってもらえるようなデザインを目指しました。特に頭部の形はブラキオサウルスらしさを表現できるよう、細かい調整を何度も行いました。

<スピノサウルス>

背中から尻尾の帆の部分を除くと、細長いプロポーションでぬいぐるみとしてのデザインが難しい恐竜でした。細長い顔もぬいぐるみで表現するのは難しい部分で、何度も細かい調整を重ねました。

<ステゴサウルス>

とても特徴的な姿なので、ステゴサウルスに見えるようにデザインする事は難しくない恐竜でした。そこで細かい部分でも「出来るだけステゴサウルスらしさを表現したい」と考え、まず一番に決めたのは背中の板の左右非対称の並びを再現する事でした。また頭の形も出来るだけ実際の頭骨に近い形を意識しました。 


――恐竜のカラーについて、全体として日常空間にも馴染みやすい落ち着いた配色でまとめられています。それぞれの恐竜のカラーについて具体的にイメージされたものやモチーフがあればお聞かせください。

<ティラノサウルス>

ぬいぐるみという事で、「普段制作している復元模型ではあまり使わない色調・配色を思い切って選んでみよう」と思いました。また「パッと目を引く明るい色にもしたい」とも考え今回の色にしています。

<トリケラトプス>

ティラノサウルスの色が先に決まっていたので、ティラノサウルスと並べたときに対照的な色、という事で落ち着いたグリーンにしました。

<ブラキオサウルス>

体の大きな恐竜なので、色でもその大きさ・重量感が出せればと考え、ダークブラウンをベースにした配色にしています。

<スピノサウルス>

他の恐竜の色と被らないように、そしてフェバリットのソフトモデルシリーズのスピノサウルスに合わせる形で明るいブルーにしています。

<ステゴサウルス>

ステゴサウルスのイメージとして根強いグリーンとオレンジの組み合わせです。グリーンはぬいぐるみだからこそ似合う色、という事で明るいグリーンを選びました。


――最後に、今回のスタッフドモデルについて全体的なご感想や、これから手に取る方々へのメッセージをお願いいたします。

今回のスタッフドモデル制作の感想は「大変だけど楽しかった!」です。 普段の復元模型制作と違い、ぬいぐるみは大きさや使う布地・素材の制約が大きく、なかなか思うような形にはなりません。その制約の中でその恐竜らしさとかわいさを表現するというのは難しく、その一方でその恐竜の魅力を改めて探るとても楽しい作業でもありました。そうやって出来たスタッフドモデルは、ぬいぐるみとしてのシンプルなデザインの中に「恐竜のカッコよさとかわいさ」の両方があるフェバリットならではのアイテムになっていると思います。 皆さんにもこのスタッフドモデルを通じて、恐竜の新たな魅力を見つけて楽しんで貰えれば嬉しいです。


徳川 広和

(とくがわ ひろかず)

パレオアーティスト/古生物復元模型作家
学術的な考証と立体物としての魅力が融合した作品をめざす恐竜・古生物復元模型作家。
ミニモデル スカルシリーズの造形及び監修を担当。


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