新恐竜秘宝館

Vol.46 チョコラザウルスへの道〜日本恐竜食玩史(3)

前回の続き、90年代の恐竜食玩事情です。

ナガサキヤは前回紹介した「コダイザウルス」「恐竜王」の他にも3種程出していて、最も恐竜に力を入れていたメーカーでした。「恐竜時代」(賞味期限からの推定で’93年頃?)はゴム製のミニ恐竜とカードがついていました(写真1、2)。「フッカツドン」(同じく推定'95年)はディフォルメ物ですが、地層ブロックに収まった化石を組み立てて遊ぶと言うユニークな物(写真3、4)。

’98年頃の「恐竜アドベンチャー」は24種類の恐竜とカードがランダムに入っていて選べないという、現代型?食玩でした。恐竜自体は何処にでも有る一山いくらの類の物でしたが、カードはなかなか味がありました(写真5、6、7)。

「最新恐竜学」でリアル食玩の先鞭をつけたバンダイは’95年頃に「ドラえもん・わくわくたうん」という全5種の情景モデルを出しましたが、その中の「のび太と竜の騎士」に2種類の恐竜が付いています。本格的なプラモデルで、手をかけてやれば立派な物に仕上がりそうです(写真8、9)。

タカラの「恐竜復活」(賞味期限不明)は、透明プラスチックで出来た型に粉状の「恐竜の素」を流し込んで固め、恐竜を自作するというキット付き(写真10、11、12)。

明治製菓からは白木の恐竜を厚紙で再現した「恐竜図鑑」(写真13、14)と、3Dカードが付いていて、集めると繋がって大きな情景になるという「恐竜ワールド」(’95年位、写真15)が出ていました。その他フルタの奇抜な「貯金ザウルス」(写真16)データカードが付いたカバヤの「恐竜王国」(写真17)、ホログラムシールが入ったナビスコの「ザウルスパーク」(写真18)、タマゴ状カプセルに他愛も無いゴムのミニ恐竜が入ったロンド「恐竜タマゴザウルス」(写真19)等など。
そして、おまけが付いていないので食玩とは言えませんがこんな物も…(写真20)。カネボウ食品版・元祖「チョコラザウルス」です。

‘98年にオーストラリアの食玩「ヤウイ」が日本に紹介され、その影響を受けて、チョコエッグ→チョコラザウルスと繋がっていきます。「ヤウイ」の中の古生物シリーズ「ロストキングダム」はヤウイ・コレクターのサイトで見ることが出来ます。

ところでチョコラザウルス。あれ程の革新的シリーズなのに何で“ザウルス”???という疑問を当初から持っていたのですが、これを期に思い切っていきさつを聞いてみることにしました。お相手は第一シリーズの原型を担当したご存知荒木一成さん。ご本人は関知していなかったのですが、親切にも海洋堂の専務さんに電話を入れて聞いて下さいました。
で、判明したのは、味覚糖が決定したネーミングで単に語感がいいからだろうという事。専務さんは「カンダムよりガンダムやろ」と、適切な?例まで挙げて下さったそうです。ありがとうございました。私が密かに期待した、「今時ザウルスは無いだろ」「いやザウルスのほうが一般向き」などと言った、海洋堂と味覚糖のかんかんがくがくの論争は無かった模様です。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。