新恐竜秘宝館

Vol.47 日本縦断恐竜おみやげ紀行 北海道・東北編

私は職業柄、時折ライブツアーの仕事があり、そういう時はあらかじめ寄れそうな博物館等を調べて可能な限り行くようにしています。勿論、主要な目的のひとつは土産物漁り。個性的なオリジナルグッズにめぐり合えるととても嬉しいのですが、大抵の博物館はオリジナルと言えばせいぜい名前の入ったキーホルダーや文房具の類位しかありません。「銘菓○○恐竜饅頭」と言った類の菓子類は何処に行ってもあるのですが、保存が難しいし、どれも同じ様、そして大抵は不味そう等の理由でパス。パッケージのみ欲しいところですがそうも行かず、収集は諦めています。もし恐竜土産菓子のパッケージを集めている方がいたら是非ご連絡下さい。誰かが集めていてくれると、恐竜文化保存(?)を目指す私としましては安心できますので。
余談ですが、先日行った幕張の「恐竜大陸」も、広い土産物コーナーでオリジナルグッズといったら訳のわからないキャラクター恐竜人形と菓子類のみ。目に付くのはフェバリットコレクションの骨格模型ばかりという、立場上喜ぶべきなのですが何とも寂しい限りで、図録と、仕方が無いのでいちばん安いキャラ人形、いちばん安いお菓子とを買ってすごすごと帰りました。

閑話休題、今回から、私が長年かけて集めた日本各地の特産恐竜土産をご披露します。もっとも古い話が多く、もはや手に入らない物も多いと思いますが悪しからず。

写真 1
写真 2

まずは北の北海道から。1987年の雪解けの頃(なぜか印象に残っています)、札幌の仕事ついでに足を延ばし、数ヵ月後には廃線になる幌内線にゆられ三笠市立博物館へ。博物館は閑散としていましたが、見事なアンモナイトコレクションと当時まだカルノサウルス類だったエゾミカサリュウを堪能しました。しかし博物館にグッズは無く、ようやく駅前のお店で見付けたのがこの「化石最中」です(写真 1)。崩れて本物の化石の様に見えますが最中です。冷凍保存してあります。実は当初はお菓子も集め保存しようとしたのですが、冷凍庫を恐竜菓子で埋め尽くすわけには行かない事に気付き断念した次第です。この最中、1993年のジュラシック・パーク公開時のテレビ番組に怪しい恐竜コレクターとして駆り出されたときに、冷蔵庫から取り出して自慢し変人振りを強調する小道具にもなりました。そんなこんなで収集対象外のお菓子なのですが例外的に永久保存版です。
北海道と言えば、やはり20数年前、プライベートで屈斜路湖にクッシーの木彫りを探しに行ったことがあり、写真 2はその戦果を陳列したコーナーです。(一部は秘宝館 Vol.2にも登場しています。)屈斜路湖には数年前、演奏ツアーの途中で再び寄る機会があり、写真右端のブラキオサウルス風クッシーはその時に買った物。造型としてはなかなか良いのですが、やはりクッシーに足があってはねえ…。
北海道で手に入れた土産はこれ位ですが、道内には滝川をはじめ、未だ見ぬ博物館が数ヶ所あるので今後のお楽しみです。

写真 3
写真 4

やはり演奏旅行で気仙沼(ここのサメ博物館はなかなかです)から車で帰京する時の事、途中で歌津町という標識が目に止まり、どこかで聞いた様な…などど思っているうちに「歌津町魚竜館」の看板が! 幸い時間に余裕があったのでバンドのメンバーに無理を言って寄ってもらいました。小さな博物館でしたが良い印象が残っています。その時の土産がこれ(写真 3)、ウタツサウルスのピンバッヂです。よく出来ていて他では手に入らない——こういうのが欲しいのです。イギリス産のイクチオサウルスの歯のレプリカも1000円程で売っていて、これも他に有りそうで無く、収穫大でした。
写真 4も宮城県産ですが、これは現地で買った物ではなく、ヤフオクで手に入れた物です。1985年に仙台駅前の「エンドー」というデパート(?)で開催された「ゴビ砂漠の大恐竜展」で売られていたと思われるプロトケラトプスの幼体のレプリカです。ひどく大まかな出来で彩色もされていないのですが、この年全国を回っていた「ゴビ砂漠大恐竜展」で展示された実物化石からコピーされた物の様で、図録には「恐竜としては、世界でいちばん小さな全身化石」と紹介されています。通常、展示化石のレプリカは販売されないのですが、もしかしたら「エンドー」だけの限定品(勝手に作った?)かもしれません。もしそうだとしたら…嬉しい!

写真 5
写真 6

福島県のいわき市「いわき石炭化石棺」は以前特別展で私のコレクションを展示していただいたりして縁がある所です。土産は秘宝館 Vol.31で紹介した南部鉄器のフタバサウルスの他に、同じく南部鉄器のマメンチサウルス(写真 5)もいい味を出しています。それに写真 6の石炭に描かれた骨格は思わず「そのまんまやんけ!」と突っ込みを入れたくなる、素直で好感が持てるお土産です。
次回は関東編です。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。