Vol.44 チョコラザウルスへの道〜日本恐竜食玩史(1)
このところようやく下火になってホッとしているのですが、2001年のチョコラザウルスに始まる恐竜食玩の波状攻撃には、ほとほとまいりました。やれシークレットだ、やれ色違いだのと…チョコラザウルスクラスのハイクオリティな物ならまだしも、「なんじゃこれは!」と言う代物も少なく無く、それでもコンプリート収集しない訳には行かないコレクターの悲しい性。ヤフオクでコンプ買いが出来るのがせめてもの救いで、中には届いた後梱包も解かず放置したままの物まである始末です。今世紀になってから世に出た恐竜食玩の数は300を優に超えるでしょう。ここでは、そんな食玩ビッグバン以前の、食玩が「おまけ」と呼ばれていた頃からチョコラザウルス登場に至るまでの恐竜食玩の歴史を、数回に亘って振り返ってみたいと思います。
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食玩の元祖と言えば「グリコのおまけ」。
80年の歴史に5000種にも及ぶアイテムというだけに、さぞや沢山の恐竜物があるかと期待して「グリコのおまけ型録―おまけの80年史」という2003年までの全おまけを収録した図録本を図書館で(高価な本なので)調べたのですが、意外にも恐竜は少なく、1958年頃のプラ製のディメトロドン、1967年に金色にメッキされた金属製ステゴサウルス、プロトケラトプス、ディメトロドン(写真1—筑摩書房刊「グリコのおまけ」より)とティラノサウルス、‘87年にスポンジ製竜脚類、’90年ゴジラもどき、’91年にトリケラとアパト風の立体パズル、’98年にカリカリザウルス(写真2)8種類……たったこれだけです。特に80年代以降は恐竜と呼ぶのもはばかられる様な物ばかりで拍子抜けもいいところでした。
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写真3はコビト製菓のバッヂです。残念ながら、年代もお菓子の種類もわかりませんが、コビトはガムの景品(買ったその場で当る)のバッヂを多く作っていたので、これもおそらくそうでしょう。かなり古い物と思われます。
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「明治・恐竜の国チョコレート」(写真4)には思い出が有ります。70年代後半、既に私は恐竜コレクター道に足を踏み入れていまして、それを知っていたバンド仲間が、何処からか3体の8cm程の骨格モデル見つけてきてくれました。トリケラトプス、コリトサウルス、プレシオサウルスで、当時としては驚愕の出来の良さ。明治製菓の「恐竜の国チョコレート」のおまけと言う事が判明したのですが既に販売は終了していて、「何で気付かなかったのか!」と自責の念に駆られつつ、慌ててアメ横辺りのお菓子問屋を探しまくったのですが後の祭。実に悔しい思いをしました。
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だいぶ後になって、ミュージアムショップ等で全10体がランナー(プラスチックの枝)に付いた形で売られるようになり(写真5)シリーズの全貌が判明。さらに近年、ヤフオクでオリジナル数種をゲット。そして最近念願のパッケージ入り(写真6)も手に入れたので、まずは積年の思い成就といったところでしょうか。パッケージの表記によると恐竜の国チョコレートには他に「ゆび人形」入りと「きょうりゅうシール」入りがあったようです。
明治製菓には「恐竜ものしりカード」というのもありますが年代、お菓子とも不明です(写真7) 。
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田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。