古生物のソフト素材を使用したあつめるフィギュア
アノマロカリスと並びバージェス動物群を代表する動物の1つオパビニアのPVC製フィギュアです。コレクションしやすいサイズで、遊ぶだけでなくディスプレイとしてもお楽しみいただけます。
オパビニアOpabinia
分類 :ラディオドンタ目/オパビニア科/オパビニア属
サイズ :体長約7センチメートル
生息時代:古生代 カンブリア紀
オパビニアは、カナダのカンブリア紀中期の地層から発見された「バージェス頁岩動物群」の一種で、頭部にある5つの目と象の鼻のように長く伸びた触手が特徴である。5つある目は上方に360°近い視野を持ち、捕食生物をいち早く見つけるのに適していた。体は15の体節からなり、それぞれの左右に鰭を持ち、これを波打つようにして泳ぐこともできたと考えられている。左右の鰭や触手を用いて捕食するなどアノマロカリスとの共通性から近縁種とする説もある。その奇妙な姿から初めて学会発表がされた際に会場が笑いに包まれたという逸話がある。
監修者 徳川広和さん インタビュー
- バージェス動物群に属するものの一つで世にも奇妙なスタイルの「オパビニア」がソフトモデルで登場となりました。徳川様が思われるオパビニアはどのようなイメージを持たれていますか?
- バージェス頁岩の動物達はどれも奇妙ですが、オパビニアはその中でも特に奇妙なものの1つに思います。遊泳性の捕食動物と考えられているようですが、一方で今回のフィギュアでも表現したような脚がある、という説もあり、そうなると海底を歩き回って餌を捜す事もあったのでは、と想像しています。
- オパビニアを見て、まず感じるのは独特の奇妙な形態です。頭部の前面の5つの眼や頭部先端のゾウの鼻のような管状の器官は、どのような進化の過程で備わったのでしょうか?また、どのような役割を果たしていたのでしょうか?
- 頭部先端の管状の器官は口ではなく、獲物や食べ物を咥え、頭の下面にある口に持って行くために使われたと推測されています。オパビニア属は現在1属1種のみの報告で、かつ似たような姿の近縁種もいないため、進化の過程での吻部の獲得の詳細は判りませんが、同じような機能の器官を持つアノマロカリス類と近縁であると言われるので、アノマロカリス類の研究が進む事で、オパビニアの器官の謎や進化も解明されるのかも知れません。 5つの眼は、頭部の管状器官以上に奇妙な特徴です。眼を2つ以上持つ動物は現生でもクモなどが知られていますが、オパビニアの眼の5つという数に加えて、頭部から飛び出した形状は、「カンブリア爆発」の中で登場した多数の様々なデザインの中でも特に奇妙であり、また動物にとって眼という器官には思いも寄らないバリエーションがある事を想像させます。
- オパビニアは多種多様であった事を感じさせてくれる一方、他の生物には見られない形態から造型するのは簡単なことではないと感じました。その中で、造型するにあたり参考にされた生物やイメージなどがあれば教えてください。
- 脚の部分はカギムシを参考にしましたが、それ以外の部分となると正直何かを参考にしたくても、現生の動物にはコレというものが見当たらず、化石の画像と複数論文での記述・図版を元に製作するしか無い、という感じでした。また復元も論文の発表者や発表年によって違いがあるので、その中から組み合わせての作業になりました。
- 彩色のイメージはブルーを基調とした彩色となっていますが、どのようなイメージを元に製作されましたか? 参考にされた現生の生物があれば教えてください。
- 今回の造形は、オパビニアは系統的にカギムシに近く、またカギムシに似た脚を持っていた、という研究を参考の1つにしているので、色もカギムシの色を参考にしました。更に同じくらいの大きさの捕食動物という事でウミウシも参考にしました。加えて、このプレヒストリック・ライフシリーズで先に商品化されているアノマロカリスが赤系の配色ですので、それとの対になるように、という事もあり青系統の色で纏めています。
- 最後に今回のモデルについてコメントをお願いします。
- オパビニアはアノマロカリスと並びバージェス動物群を代表する動物の1つだと思います。またその奇妙な姿は「カンブリア爆発」と呼ばれる、様々なデザインの動物が爆発的に現れた地球史イベントの象徴のようでもあります。一方で奇妙な姿でありながら、どこかユーモラスでもあり、もし生きたオパビニアを観察出来たら「可愛い」とさえ思える仕草?等も見られたかも知れません。今回の造形も、少し動きのあるポーズにしていますので、皆さんにもいろいろなオパビニアの姿・動きを想像して楽しんで貰えればと思っています。
監修者プロフィール
徳川広和(とくがわ ひろかず)
学術的な考証と立体物としての魅力が融合した作品をめざす恐竜・古生物復元模型作家。