新恐竜秘宝館

Vol.17 秘宝館の全貌〜其の拾壱 青春ジオラマ編後編

80年代初頭、入手できる最良の恐竜模型は大英自然史博物館製の1/50シリーズでした。当時はまだディプロドクス他5、6種類しか発売されていませんでしたが、スケールが統一されている事とその完成度で、メインの恐竜として他に選択肢はありませんでした。ディプロの他に、メガロサウルス、ステゴサウルス、スケリドサウルスに登場してもらっています。ただ困ったことに塗料の乗りが悪く(製品は単一色)、塗ってもすぐ剥がれてしまい四苦八苦した挙句、タミヤのサーフェイサーで下地を塗って、何とか塗装できたという思い出があります(Vol.15 秘宝館の全貌〜其の九の写真をご覧ください)。

アパトサウルスはイギリスのエアフィックス社のプラモデルです。商品名は当然の様にブロントサウルス。こいつには時代を感じさせるエピソードがあります。もともとのキットの頭部は、先細りの鼻面の先に鼻腔が空いた昔ながらの恐竜顔で、実にいい加減なものでした。納得できない私は当時の常識から迷うことなく、パテを使ってカマラ顔に改造したのです。アパトの頭がディプロ系と判明したのは数年後の事でした…。仕方ないので、前足の短さに目をつぶってカマラサウルス、或いは未記載の竜脚類という事にしています(写真1)。

当時の図鑑では定番だったのに最近なぜかめっきりお目にかからなくなったジュラ紀の風物詩、始祖鳥を追うオルニトレステスの図も再現しました。オルニトレステスは、小さなゴムの獣脚類恐竜に針金を入れて尾を伸ばし、二脚歩行ポーズにして、さらに表面をパテで仕上げました。おかげでちょっと太めになってしまいましたが。全長は5cm程です。ポーズ違いが3匹います(写真2)。

追われる始祖鳥は、1/700の艦船模型「ウォーターライン・シリーズ」のアクセサリーとして売られている飛行機キットを元にして作りました。機種名は「ユンカースJu87」、ドイツの急降下爆撃機です。この飛行機の翼は逆ガル翼といってカモメの翼を逆さにした形、という事は逆さにすればカモメ=鳥が羽ばたいている感じが出る…とまあ、我ながらいい所に目をつけたと思います。翼長は約1.5cm。(写真3)さりげなく飛んでいるプテロダクティルスも同様に飛行機改造、こちらはさらに小さくて1cm程です(写真4)。

その他、水辺にたたずむブリテン社製鰐、そして自作の小トカゲを岩(恐竜の骨片)上に配置して、めでたくジオラマの完成です。
最後に背景画の自慢(?)をしたかったのですが、思いの他長くなってしまったので、次回番外編としてまとめます。もう一回だけお付き合いください。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。