新恐竜秘宝館

Vol.25 秋の夜長にANTSのアロサウルスでも作ろうか

思い立って数年ぶりに押入れの奥からアメリカのANTS社製1/12アロサウルスの骨格キットの入った段ボール箱を出してきて中をのぞくと、購入当時のあの興奮が蘇って来ました。(ちなみに押入れの様子はこんなです。写真1)。
10年程前、私はダイナソーソサエティというアチラの団体に入っていまして、送られてくる会報の通信販売欄でこのアロを見つけ、300ドル位で購入したのですが、送られてきた素っ気ない段ボール箱を開けてびっくり。ぎっしりと詰まったそのパーツ総数実に150(写真2)。

例えば頭蓋骨は4パーツからなっています。普通のキットだと前頭部と一体化されている、頭頂骨、上後頭骨、前後耳骨、後頭顆等を含む後頭部が別パーツになっています(写真3)。今、恐竜学最前線7のアロサウルスの骨学を見ながら書いているのですが、勉強になります
続く第一第二頚椎(ちゃんと融合してます)と頸肋骨、第三頚椎と頸肋骨(写真4)といった具合に椎骨と肋骨は全部ばらばらで第四十一尾椎(最前線では五十一まであります…異説か?あるいは単に省略か?)まで一対ずつビニール袋に入っています。前肢も肩甲・烏口骨、上肢骨、橈骨、尺骨、手も指骨こそ関節していますが三本指が別々です。後肢も同様で距骨まで別パーツです(写真5)。さらに血道弓も骨盤に近い何本かは別パーツで…。とまあこんな具合。

買った当初に思ったのですが、これは秋の夜長に参考資料でも読み各骨の名称を日英語で呟きつつ、虫の音でも聞きながらゆったりと組み立てたら贅沢な時間を過せるのではないかなと。以来秋になると時折箱を開けパーツを手に取ってはみるものの、良く出来た椎骨を順番に眺めたりしているうちに組上げるのがもったいないような気もしてきて、老後の楽しみに取っておこうかなどとも思ってしまうのです。そして箱は元の押入れの奥へ…。今年もどうやらそうなりそうな気配です。

ANTS社は1/10頭骨シリーズ(最小のヘテロドントサウルスは1cm程!)等、恐竜の骨関係の楽しいアイテムを数多く発売していたのですが、現在は残念ながら恐竜物の販売はしていないようです。写真6はアロの頭骨部分のブロンズ製完成品です。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。