新恐竜秘宝館

Vol.26 TVの中のダイナソー Vol.1?

1998年の夏、フジテレビ系で「今夜、宇宙の片隅で」という連続ドラマが放映されました。脚本は三谷幸喜。出演は西村雅彦、飯島直子、石橋貴明。マンハッタンを舞台にした(といっても街中のロケは殆ど無いが)ロマンチックコメディで、西村は飯島に思いを寄せるが、西村は石橋に…といった、ストーリーよりも洒落た会話などを楽しむ内容。恐竜は西村が飯島の誕生日にプレゼントする為にニューヨーク自然史(?)で買ってきてこつこつと組み立てているステゴサウルス骨格モデル。実は海洋堂製の1/20レジンキットで、組上げるには少々難物です。画面の中で、サクサクと出来上がっていく有様に「そんな簡単なわけねーだろ」と突っ込みを入れていたのを思い出します。で、そのステゴサウルスは未だに我家の押入れの中に…。というわけで前回に引き続き「押し入れの中のダイナソー」Vol2です。
原型を製作した山崎繁さんは恐竜倶楽部の昔からの仲間で、まだ彼がアマチュアの頃からの知り合いです。彼は日本の恐竜骨格キットの草分けにして唯一の原型師、と言うのも現在に至るまで、学研の付録(一部市販)と小さな食玩等を除くと、骨格キットと呼べる物は山崎原型の海洋堂レジンキットしか存在しないのです。骨格キットは部品が多く壊れやすくて作るのは文字通り骨ですが、作りがいはあります。フェバリットの骨格も一度キット状態の物を組み立ててみたいものです…押入れの中のダインソーVol?になる可能性は多分にありますが。
さて、このステゴの最大の難関は背中の骨板。説明書には「骨板は背骨に付いている訳ではないので、骨板どうしをピンバイスで穴を開けてアルミ線等で繋いで、背骨からは浮き上がる状態にする。」とこだわりの指示があり面倒臭そう。透明パーツを使うなり何か楽な方法を考えてくれればいいのになどの愚痴はことガレージキットの場合は禁句です。肋骨も細くて接着しづらそうだし(写真1)。これも老後に回すか微妙な所です。

山崎さんの作品は(骨格の癖に!)躍動感溢れています。グレゴリー・ポール風に疾走するティラノサウルス(写真2)。立ち上がって敵を踏み潰そうとしている(頭が重そうですが象ですら立ち上がるのだから…有りか)トリケラトプス(写真3)。(写真4)跳びかかるヴェロキラプトル。(写真5)1/1幼体という設定のフタバスズキリュウ。そしてステゴサウルスも何故か倒木の上を歩いています。私はこのようなアイデアに満ちた奔放な山崎さんの作風が大好きです。(写真6)はその他の山崎作品(アルシノテリウムとヴェロキラプトルの頭骨、ケラトサウルス他、いずれも海洋堂)。


山崎さんはその後海洋堂を離れ、恐竜は作っていないようです。倶楽部でもこの所お目にかかっていないのですが、是非とも復活を期待したいものです。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。