古代魚のソフト素材を使用したあつめるフィギュア
およそ4億年前からその姿がほとんど変化していない生きた化石シーラカンスのPVC製フィギュアです。コレクションしやすいサイズで、遊ぶだけでなくディスプレイとしてもお楽しみいただけます。
シーラカンスCoelacanth
分類 :シーラカンス目/シーラカンス科/ラティメリア属
サイズ :体長約2メートル
生息地域:南アフリカのコモロ諸島
シーラカンスは、およそ4億年前からその姿がほとんど変化していない「生きた化石」である。長らく絶滅したと考えられていたが、1938年に南アフリカで発見され世界の生物学者を驚かせた。他の魚類と違い脊椎骨がなく、脊柱と呼ばれる中空の管が頭と尾鰭 をつなぎ、脊柱の中は液体で満たされている。胸鰭と腹鰭は四肢動物の肢に似た柄の先につき、陸に上がった生物の進化の過程を垣間見ることができる。1997年には、インドネシアで別種のインドネシアシーラカンス(Latimeria menadoensis)が発見されている。
監修者 守亜和由喜さん インタビュー
- エンシェント フィッシュ「古代魚」シリーズはフェバリットで新たにラインナップに加わった新カテゴリーとなります。まず“古代魚”とはどのような生物なのでしょうか?
- 古代魚と一言で言ってもいくつかの解釈がありますが、一番簡単に言ってしまうならば「古い形質を残したまま現在まで生き残っている現生魚類」ということが言えると思います。今回のシリーズではシーラカンスが一番歴史的に古く、シルバーアロワナは比較的新しくでてきた古代魚です。
- はるか昔から現在まで地球上で生き続けてきた“生きた化石”とも呼ばれる古代魚ですが、その太古の姿にはどのような特徴や生態、魅力があるのでしょうか?
- 古生代、中生代には様々なバリエーションのシーラカンス類が棲息していましたが、そのほとんどは絶滅し、現在2種の現生種が確認されています。今回製作したのはラティメリア・カルムナエという現生シーラカンスです。シーラカンス類、日本語で肉鰭類という名の通り、鰭の付け根には筋肉でおおわれた腕のような部位があることがシーラカンスの仲間の大きな特徴です。少々詩的な表現になってしまいますが、中でも現生種であるラティメリアは約4億年のシーラカンスの歴史の中で最後に登場した新しいタイプのシーラカンスですから、非常に洗練されていてスタイリッシュな印象を受けます。しかし現生魚類のどのタイプの魚とも似ていない唯一無比の異形の姿こそがこの魚の最大の魅力です。加えて深海と呼ばれる深度の海に基本的に単独で暮らしているため生態に謎が多く、生きている姿を見ることは非常に困難であることもこの魚を神秘的なものにしている所以だと思います。
- 塗装を含む原型製作を今回ご担当いただきました。それぞれどのようなコンセプトを元に製作されましたか?また、製作するにあたり特に注意された点はありますか?
- 私を含めたほとんどの人はシーラカンスを標本でしか目にすることはできません。標本からはその魚の詳細なデータを得ることはできますが、生きている姿とは大きく形やバランスを変えてしまいます。よって画像や映像で、生きている姿を何度も確認したり、監修者としてクレジットはされておりませんが研究者の方の意見を求めたり、資料等をいただいたりしながら生きている姿の再現することに一番力を入れました。実物の標本とは違った角度からの価値をこのモデルに与えたかったのです。
- 魚類研究家の五十嵐 利明氏に監修を依頼いたしましたが、具体的にどのようなディスカッションがあったのでしょうか?
- 全体を見回す大きな視点と細部の正確さの両面で指摘をいただきつつ注意深く製作作業を進めました。立体物において最大の課題である「物としての存在感や量感」は画像だけでは伝わりませんので直接お会いしてプロポーションや全体の雰囲気、さらにはいまこの魚はどのような状態にあるのかというところまで話し合いました。また、細部の形状や数値にも指摘が入りました。つまりは鱗や鰭条の数や側線の形、模様の入り方などです。 また、魚の本来の姿は野生下で成熟したものであり、水槽などで飼われている個体は野生のものと比べると体型や細部においても少し差異がでてきます。ですが野生での環境は厳しく、成熟する間にヒレなどは裂けたりする場合もありますし、体にも多少の傷がつきます。そういった意味では今回のシリーズは野生の本来の姿を生き写しにしつつ、傷一つなく育ったある意味ではありえないくらいパーフェクトに理想的な姿を作り出すことが最大のコンセプトでした。
- 最後にエンシェントフィッシュシリーズについてコメントをお願いします。
- その魚が生きて泳いでいる姿を写し取るというのが最大のコンセプトです。活き活きとした姿をそのまま切り取ったような情景を感じてください。また一方でひとたび手に取れば、その魚の詳細な姿が浮かび上がります。彫り込まれた頭部や鱗を眺めてください。手の中でボリューム感を感じてください。飾って楽しむこと、手に取って遊ぶことの両方でお楽しみいただけたら嬉しいです。
監修者プロフィール
守亜和由喜(もりあ かずゆき)
自然史系造形作家。
「私的熱帯世界」をコンセプトにしている。造形、平面問わず幅広く表現し、個展やグループ展など多数開催している。
アクアフィッシュ ミニモデルの造形及び監修を担当。