Vol.64 恐竜プラモデル史 9
荒木一成さんの新しい本「ぼくは恐竜造形家」が出ました。荒木さん自らが語る恐竜半生記。子供向けの本ですが、このプラモ史でも触れた海洋堂恐竜シリーズ参加へのいきさつをはじめ、興味深い話が満載です。ぜひご一読下さい。
前にも触れましたが、その荒木さんが1984年から実に17年もの間「モデルグラフィック」誌に連載していた「はり師カズやんの恐竜でっせ!(後に絶滅でっせに改名)」は当時の恐竜マニアの拠りどころとなり、何度か組まれた投稿作品特集に新進気鋭の恐竜モデラーが集いました。そのうちの何人かは現在プロとして一線で活躍しています。またガレージキットの祭典「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)」で自作の恐竜キットを販売するモデラーも現れ、となれば私も買い漁りに行かないわけには…。
今回は主に90年代にワンフェスで購入したガレージキットを集めてみました。
あおむらさきプロダクト(1995年頃〜)
盤竜類の、オフィアコドン(左)とコティロリンクス
左から獣形類イノストランケビアとスタレケリア、杯竜類スクトサウルス
いずれも1/20スケール。この採算を度外視したラインナップは、個人の趣味で作るガレージキットならではのもの。他に絶滅貧歯類のグリプトドンとドエディクルス。そして唯一の恐竜、テノントサウルスがありましたが、この10年程は古生物から手を引いている様で残念。
アルカード(マキノモケイ)(1993年頃〜)
ヴェロキラプトル・ディロフォサウルス・オビラプトル
スティギモロク・エウオプロケファルス
海洋堂恐竜シリーズの穴を埋めるべく、1/20で小型恐竜をこつこつと作っていたメーカー。極小ウロコによる体表表現が特徴です。
えんどるふぃん
90年代のはじめ、関西の若手造形家3人が作ったメーカー。現在はグループとしての活動はしていないようです。
アルティリヌス・アマルガサウルス・テリジノサウルス
モササウルス・プリオサウルス
徳川広和さんの作品。徳川さんは現在プロの造形家として積極的な活動をされています。
http://www.ne.jp/asahi/fragi/ragi/index.html
村瀬善明さんの1995年頃の作品。1/10スケール。
広末良彦さんの1993年頃の作品。
SINZEN造形研究所 (1995年〜)
アルバートサウルス
ディロフォサウルス・モノロフォサウルス
竹内信善さんは、ワンフェスで最初にお会いした時、なんと中学生でした。今ではプロの造形家として、個展や原型製作等で活躍されています。
http://www.niji.or.jp/home/shinzen/index1.html
ゴブリン・ファクトリー (1996年)
ケツァルコアトルス
プテラノドン
あぁ炎の維新組 (1999年)
写真 13 右:モノニクス
工房金竜 (2000年)
写真 13 左:孔子鳥
うなぎ工房 (90年代)
グワンジ風獣脚類
一般模型メーカーからの恐竜プラモデル(インジェクションキット)は前世紀末に絶滅し、完成モデル(フェバリットや食玩等)にそのニッチを譲ってしまいましたが、恐竜のガレージキットは現在でもワンフェス等で、美少女フィギュアやロボット物の陰に隠れて細々とではありますが、新作が作られ売られています。徳川さんやSINZENさんはプロになった今も出店されていますし、単発で恐竜物を出すメーカーも毎回必ずあります。(写真⑮は昨年の夏のワンフェスで購入した物)喜ばしいことです…と書きながら、完成品収集に走ってもう何年もガレージキットに手を付けていない(未組立ての在庫多数!)自分に気付き、ちょっとうしろめたい気分になってしまったところで次回はいよいよプラモ史最終回。90年代半ばに発売された最後の恐竜プラモデル、ジュラシック・パーク関連のキットと、タミヤの「恐竜世界シリーズ」をとりあげます。
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田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。