新恐竜秘宝館

Vol.56 恐竜がいなかった夏

結局、夏の間家の外で恐竜に出会うことはありませんでした。夏のお約束だった恐竜展もミネラルフェアも博物ふぇすも無く、関東で唯一開催された群馬県立自然史博物館の「空にいどんだ勇者たち」展12月までやっているのをいいことに、紅葉の時期にGoToトラベルを使って行こうかなどと不純なことをつい考えてしまいました。

*ポスターが更新されています。

http://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/10b6f19a66dfe83c5620d26b4c8b2189.pdf

 

夏に発売された恐竜フィギュアも、アニアのジュラシック・ワールド物くらいで、物足りませんでした。

9月の末から、マクドナルドのハッピーセットに、やはりジュラシック・ワールドフィギュアが付きましたが、これもいまひとつでコンプに熱くなれませんでした。

 

「のび太の新恐竜」は、お涙頂戴がいやでスルー。新恐竜フィギュアも眼がキラキラ大きいので、コレクト対象外です。

 

おかげで毎年この時期に嘆く羽目になる夏の散財は免れたものの収入も少なく、結果、いつもどおり懐具合のさみしい秋を迎えています。いつもならこの時期の秘宝館は夏の恐竜イベントの収穫で埋め尽くされるのですが、今年はさみしい限り。

 

しかしです。何故か恐竜本界だけは元気で、この68月で40冊ほど出版されて、これはほぼ例年並み。しかも去年のように恐竜展しばりがない分、バラエティにとんでいます。今年の夏の恐竜を振り返るならこれしかない!

 

今年の夏の恐竜本

 

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表紙の画像をご覧ください(画像1)。もちろん全部持っているわけではなく、ライフワークとしている「日本の恐竜本リスト」作りのためにネットで拾った画像も含まれています。この中から何冊が気になった本(買わなかった本も含めて)を紹介しましょう。

 

「講談社の動く図鑑MOVE・大むかしの生きもの」1段目左から1冊目(以降1-1という様に表記します)。

今年の2月にカムイサウルスからハルシュカラプトルまで最新の恐竜を網羅した「恐竜2」を出したばかりのMOVE。この本ではアノマロカリスに代表されるラディオドンタ類推し?でズラリと並べられ、そのせいか古生代のページ数が一番多くなっています。オールカラーで相変わらず濃い内容です。

 

「ティラノサウルスのはらぺこないちにち」「トリケラトプスのなんでもないいちにち」(1-4/1-5 竹下文子著・鈴木まもるイラスト 偕成社)は、ティラノとトリケラの同じ一日の生活を描いた絵本。最後に両者は相まみえるという趣向。面白いアイデアなのですが両方買わないと意味がない本。一冊にまとめてくれたらありがたいのにと思っていたら「きょうりゅうライバルずかん」(1-6 学研プラス)は同じくティラノとトリケラが登場する図鑑なのですが、表から読むと「ティラノサウルスの本」。裏から読むと「トリケラトプスの本」で、中央のページで両者が出会うという、心を見透かされたような本でした。

 

「生物の進化大図鑑」(2-1 河出書房新社)「ビジュアル恐竜大図鑑」(2-2 日経ナショナルジオグラフィック社)はいずれも10年程前に出版された本の改訂版。立ち読みしたところ、高価な割に目立った改訂がされていなかったのでパスです。

*「生物の進化大図鑑」は、監修者に、数年前に亡くなられた小畑郁生博士の名前がそのまま使われています。

 

「ポパイ―僕らの博物館」(2-4 マガジンハウス)誌上にいろいろな博物館を再現する特集。恐竜は16ページにわたって、骨格の写真、世界の研究者の似顔絵付き紹介コーナー、フィギュアやグッズなどが並べられ、盛りだくさんの内容で楽しめました。

 

「恐竜骨ぬりえ」(3-7 岡田善敬 KADOKAWA)薄く描かれた恐竜の骨格に自由に肉付けして色を塗るというユニークなぬりえなのですが、塗って遊んでなんぼの物なので買い控えました。他に塗る物はいくらでもあるので。

 

「恐竜学」(4-1 真鍋真 学研プラス)初心者にも判るやさしい語り口なのに内容は充実。真鍋先生の真骨頂が発揮された一冊です。

 

「も~っとわけあって絶滅しました」(4-2 丸山貴史 ダイヤモンド社)/「すごくてヤバい恐竜図鑑」(4-3 カンゼン)「わけあって」はもはや恐竜は登場しません。ネタ切れか?。「ヤバい」は内容よりも妙にディフォルメされたイラストがヤバい!

 

「なぞにせまれ! 世界の恐竜」(5-2/3 汐文社)月刊誌の様なのですが現物を見たことはありません。書店には置いていないようです。32ページしかないのに2500円とは!

 

BIRDER8月号―嘴の秘密―」(5-4 文一総合出版)小林快次さんが「嘴はいつ進化したのか?嘴のある恐竜、歯のある鳥」と題した興味深い記事を書いています。

 

「もがいて、もがいて、古生物学者!!」(6-1 木村由莉 ブックマン社)著者はバリバリの若手研究者で、古生物学者になるまでの半生を、今どきの人らしく飾らない文章で軽快に語っていて、つい応援したくなります。巻末の、同じジュラシック・パーク世代の研究者との同窓会的トークもとても楽しく、夏の一冊です。著者本人が本の紹介をしている動画があるのでぜひご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=AwXhQWRBgvk

 

*この夏何故か相次いで刊行されたドイルの「失われた世界」2冊(6-2/3)は後程取り上げます。

 

「恐竜事典」(6-5 グレゴリー・ポール 共立出版) G・ポールと言えば、90年代に「肉食恐竜事典」「恐竜骨格図集」でルネサンス期の恐竜復元図に絶大な影響を与えたカリスマ的存在。その人の新刊(と言っても2016年のものですが)とあっては少々高くても買わないわけにはいきません。懐かしい白黒骨格図に涙するオールドファンもいるのでは?

 

そして夏と秋の狭間の831日と91日に書店に並んだのが

「小学8年生1011月号」「小学一年生10月号」(6-6/7 小学館)でした。どちらも恐竜骨格プラモデルの付録付き。このプラモが思いのほか出来が良かったので血が騒いでついつい色を塗ってしまいました。(画像2)

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実はこの2冊、恐竜特集と共にプラモデルの特集を組んでいて、バンダイの工場にプラモの製造過程を取材しているのです。今どきの「プラモデルができるまで」記事は私にも勉強になりました。職人さんがコツコツと原型を削り出していた昔とは全く違うんですね~。

 

*今回最新のプラモを作ってびっくりしたのは、ランナー(枠)から部品を外すのに手できれいにもげるということ。今の今までプラモのパーツはニッパーやカッターで切り離してヤスリで整形するものだと思っていました。

 

2体の恐竜プラモ、ご覧の通り見事なプロポーションです。ティラノは腹肋骨や叉骨も表現されトリケラの前足はちゃんと指先が外に向いています。バンダイと小学館の本気度がうかがえます。ただ惜しむらくは、両者とも肋骨の間が抜けていない事。何か事情があったのでしょうか。私は間を黒で塗って(スミ入れと言います)ごまかしましたが肋骨の太すぎ感は否めません。本当なら切り取って、肋骨を細く削りたいところです。

 

この2冊は恐竜記事も充実していて、特に8年生は恐竜クイズ、復元図の変遷、恐竜化石スイーツのレシピ、ドラえもんの恐竜漫画にまんがで描かれた「マーシュとコープの化石発掘大合戦」と、もうおなか一杯の内容で、これで税込み1100円は超お得です。

 

さて最後に残った「失われた世界」2冊。新刊のほかにも紹介したい本があるので項を改めます。

 

ふたたびロストワールドへ

*この項は「新・恐竜秘宝館Vol.30失われた世界」の続きです。これだけでは説明不足なところがあるので、まずはVol.30からお読みいただけるとありがたいです。

 

20166の新秘宝館Vol.30で、コナン・ドイルの「失われた世界」を特集してから4年間、「失われた世界」の新訳本が出ることは無かったのですが、この夏何故か突然2冊刊行されました。

 

「ロスト・ワールド―恐竜の世界―」

(芦辺拓・編訳 学研プラス)

10歳までに読みたい世界名作シリーズのジュブナイル。メイプル・ホワイト・ランドに着くまでの話は大幅に省略されていますが、その後のエピソードは全て盛り込まれ(私の好きな「アロサウルスかメガロサウルス」の会話もあり)、登場する恐竜も、姿こそ現代風ですが、種類はイグアノドンからトクソドンまで原作に忠実です。巻頭に台地の鳥観図や登場恐竜の説明もあり、当時と現代の恐竜像のギャップにも触れています。とても丁寧に作られた好著。

 

「失われた世界」

(中原尚哉・訳 創元SF文庫)

新訳版で、挿絵は初出誌ストランド・マガジンのものを使っています。となれば同じ趣向の2016年刊,光文社古典新訳文庫のものと比べてみたくなるのが人情というもの。

訳者によって言い回しが違うのは当然ですが、光文社版の方が原書の古典的味わいを出すためか、持って回った言い方をしている様に思えます。例えばチャレンジャー教授がメガロサウルスの説明をするくだり。創元版は「凶暴で古代の地球ではもっとも恐れられた種―そして現代の博物館ではもっとも人気がある種だ。」一方、光文社版は「地球に災いをもたらし、博物館に恵みを施した、もっとも恐ろしい野生動物だ。」さらに異龍と斑竜と書いてそれぞれアロサウルス、メガロサウルスとルビを振る凝りようです。

挿絵は同じものが多いのですが、創元版の方が数で勝っています。光文社版は挿絵にそれぞれ出自が書かれていて、それによるとストランド・マガジン以外の物も使われているようです。創元版はわかりません。

沼の翼竜と、名シーンの湖畔のステゴサウルスの挿絵は創元版のみ。逆にインディオの村を襲う獣脚類は光文社版だけです。ラストのホール内を飛ぶ翼竜は、創元版と光文社版では別の挿絵(光文社版はサンデイ・マガジンと銘記)が使われています。

 

結論:2冊揃えるべきです。

 

さて、この4年間に新たに手に入れた希少な「ロストワールド」を2冊、紹介させてください。

 

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SF恐竜大探検」6年の科学・理科教材 学習研究社 1981

6年の科学12月号」の付録で33ページの漫画です。教材なので、5ページほど恐竜と化石の解説をする学習漫画になっているので、本文はわずか28ページ。しかも冒頭と最後はコナン・ドイルとシャーロック・ホームズの会話。実はドイルが家に遊びに来たホームズに「ロスト・ワールド」を読ませるという奇想天外な設定なのです。実質26ページの超高速ダイジェストなのですが、重要な場面はほぼ描かれて見事です。ちなみに学習漫画の先生役もドイル、生徒役はホームズです。(画像3)

 

「前世界物語」(大戸喜一郎・編 金蘭社 1929

そして今年の夏最大の買い物です。ついに買ってしまいました。4年前に「失われた世界」翻訳本を年代順に並べた時の上から3番目、「奇怪の足跡」「没落の世界」に次ぐ日本で3冊目の翻訳本です。「古本屋ネットにあるも7万円では手が出ず…」と泣きを入れた、正にその本です。お値段の方はいつの間にかぐっとお安くなって4万円、とはいえ気楽に買える金額ではありません。お気に入りに入れて2年ほど、その間何度眺めてはポチッとしかけてこらえた事か…。この夏の恐竜資金が余った(気になった)ので買うなら今しかないと思い切ったのです。

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いざ家にお迎えしてみると、さすがに高値が付いているだけあって状態は極めて良好。読まれた形跡も無いくらいで、とても90年も前の本とは思えません。函と表紙(画像4)も挿絵(画像5)も鮮やかで嬉しくなってしまいます。イラストは装幀も兼ねている高坂元三と言う人の作品。ポップでいいなあと思って調べていたらこんなページが引っ掛かりました。コナン・ドイル・マニア、ひろ坊さんのページです。「ロスト・ワールド」の日本初訳情報など至れり尽くせりでとても為になりました。

http://blog.livedoor.jp/bsi2211/archives/51360020.html

*こちらの表紙画像は1931年刊の改訂版のもので、函と表紙の絵が変わっています。

*高坂元三さんについては判らずじまいでした。

 

この本は国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1719754

ひろ坊さんの説明にあるように、ストーリーはダイジェスト(例えばメガロサウルスの場面は「(二人は)議論を始めました」とだけで残念ながらお気に入りの種名の会話は割愛といった具合)ながらほぼ原作通りですが、何故かチャレンジャーが博士と呼ばれ(サマリーの方が教授、通常とは逆です。)、その傍若無人キャラが薄まっています。挿絵下段をご覧ください。作中で猿人の王とうり二つと描写されるその風貌が、お洒落な紳士然としています(マローンもリンゴ・スターみたいですね)。いったいどうした事でしょうか?挿絵の直前のシーンでチャレンジャーはなんと「いらっしゃい。まだ話すことが残っています。」と言ってマローンを部屋に迎え入れるのです。丁寧語を使うような人物ではないのに。

ちなみに先ほどの光文社版では「こちらにきてくれたまえ」創元版にいたっては「ちょっと来い!まだ話は終わっとらん」です。

 

古本ついでに、最近手に入れた、大正から昭和にかけての雑誌に載った恐竜も紹介してしまいましょう。

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(画像6)「理学界」は、はじめてお目にかかる雑誌です。

上段は1922年(大正11年)11月号。表紙と巻頭にイクチオザウルスの図と化石写真。他にも「前世界の巨怪」と題したイクチオザウルスとプレシオザウルスについての2ページの記事があります。

下段左は19245月号。巻頭を飾る図版は「蒙古で発掘された巨怪動物」のタイトルがつけられていますが、右下の卵化石以外はアメリカだろ!?しかし本文で「人類の発祥地は果たして何處ぞ」と題した2ページの記事を組み、前年に行われたロオイ、チャップマン、アンドリウス氏のゴビ砂漠探検隊の成果を紹介しています。

*同年の「科学知識3月号」でもアンドリュース探検隊を取り上げています。(新秘宝館Vol.6

下段右は1937年(昭和12年)2月号で「前世界の怪異・三觭龍」と題した表紙のみですが、巻末の雑報コーナーに表紙の解説が載っています。そしてその横にニュースとしてアウストラロピテクスの新種の発見記事がありました。

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(画像7)左は新秘宝館Vol.7にネッシーの表紙で登場した「科学画報」19252月号の表紙(未来の超特急。カッコイイ!)と扉絵に描かれた「前世界に覇を唱えた怪動物」。添えられた説明文は[カーネギーディプロドカスと名づける大爬蟲。高さ13尺。たけ5丈を超える。]

右はぐっと時代を下って19533月号の「科学読売」。この表紙の恐竜こそは、新秘宝館に2度ほど登場(Vol.10Vol.17)した、私が幼少のころ科博の恐竜ホールにいた幼馴染のティラノサウルスなのです。これだけ大判のカラー写真は非常に珍しいと思います。「表紙の絵とき」欄を読んで愕然としました。この年の1月に科博に設置されたとの事ですが19531月は私の生まれた月。ということはほぼ双子。そう思ってVol.10のツーショット写真を改めて見ると、なるほど私の人生は生まれる前から決まっていたのかなどと、柄にもなくスピリチュアルしてしまいます。

 

さて次は「プロガノケリス消しゴム発見」の報告。地味なお話ですが。

 

以前、新秘宝館Vol.12でカメ特集をした時に、アーケロンとメイオラニア、それにシネミス・ガメラしか古代ガメのフィギュアが無いことを嘆き、プロガノケリス、アノマロケリス、オドントケリスが欲しいとか書いたのですが(オドントケリスはその後ヤフオクで手作りの物を入手)、まさか部屋の片隅にプロガノケリスが眠っていようとは。しかも40年間も!

 

先日ヤフオクで見つけ、いかにも昭和の駄菓子屋な袋の絵が気に入って何となく1000円ほどで落札した恐竜消しゴム詰め合わせ。どこかで見たような中身だと思ったら案の定、恐竜収集のごく初期、おそらく70年代に買ってあまりのドーデモイイ造形(たとえばアロとティラノとイグアノドンの見分けがつかない)なので飾られることも無く、箱に大量に詰められたままになっていた消しゴムでした。今回その出自が判って良かったわけですが、袋の裏に書いてあるリストのスタンダードな恐竜の中にトリアソケリスという聞き慣れない名前を見つけ、ケリスと言うからにはカメだろうと推測。確かに消しゴムの中にカメらしきものがいます。で、ネット検索したところいくつかヒットしたのですが、ヨーロッパで発見された三畳紀のカメの祖先といった程度の説明で、想像図もプロガノケリスとうり二つ。プロガノケリスはサンジョウキガメ(なぜかカタカナ表記)とも呼ばれるそうですし、21世紀になるまでプロガノケリス以外に三畳紀のカメは知られていなかったとの記述も発見。さらにダメ押しで調べた平山廉先生著の「カメのきた道」にもトリアソケリスの名は無く、かくしてプロガノケリス=トリアソケリス(確かに三畳紀カメそのまんまです)説はめでたく確定です。ただ、かってTriaschelys?と正式に呼ばれたことがあったのか?サンジョウキガメはなぜカタカナなのか?…何か逸話がありそうです。

ともあれ、今回我部屋の70年代の地層?から珍しいプロガノケリス・フィギュアが発見(それも複数!)されたのですからめでたい。お祝いに色を塗ってみたのですが、所詮4cm程の消しゴム、こんな姿になってしまいました。(画像8)

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夏の終わりにちょっと嬉しい話

 

831日の朝日新聞夕刊に掲載されていた「魂のサプリメント」というコーナーで、怪奇幻想系の雑誌編集やアンソロジーを編纂されている東雅夫さん(面識は有りません)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%9B%85%E5%A4%AB

が、長年集められた恐竜グッズを披露されていました。現在でもデジタル版で一部見ることができます。https://www.asahi.com/articles/DA3S14604772.html

 

写真中央のティラノは子供のころ横浜の遊園地で買ってもらったとのこと。東さんは私の五つ下でほぼ同恐竜世代。とすればこれはまぎれもなくあの横浜ドリームランド土産です。(新秘宝館Vol.10写真9)

アメリカのMarx社のコピーですが、珍しい日本製コピー。持っている人は恐竜倶楽部にも数人しかいません。(私は不覚にも紛失)

まさかこんなところでお目にかかるとは。

思いがけなくドリームランドの恐竜の記憶

を共有しているコレクターの方がいることを知って、なにやら嬉しい気持ちで夏を終えることができました。

 

東さんは恐竜関係の本も手掛けられてていました。当然持っています。

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●幻想文学8号 特集「ロストワールド文学館」(幻想文学会出版局1984

恐竜文学の歴史的考察から恐竜小説の紹介まで、為になる本です。

●ブックガイドマガジン 2号 特集「オトナのための恐竜本フルコ-ス」(幻想文学会出版局1990

こちらは恐竜小説、画集のガイドに加え、金子隆一さんによる、恐竜ルネッサンスを学ぶための当時最新の科学本の紹介も載っています。

「恐竜文学大全」(東雅夫・編 河出文庫1998)小説から随筆まで、日本の恐竜文学が16編収められています。1907年のレアな「湖上の怪物」や、作中でドイルのロストワールドを子供たちに読んで聞かせるという「イグアノドンの唄」新秘宝館Vol.30)も収められています。必携です。(画像9)

 

東さんと私の接点はそれだけではなく、手掛けられた「クトゥルー神話事典」や「クトゥルー怪異録」なども我が家の本棚に並んでいます。金子さんが生きていたら紹介してもらえたのになあ…。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。