Vol.48 日本縦断恐竜おみやげ紀行 関東編・前編
まずは群馬県から。
群馬県立自然史博物館には素晴らしい恐竜コレクションがあるのですが、中でもカマラサウルスの全身骨格は実物化石で見事な物です。写真 1はその頭骨の精巧なミニチュア(ほぼフェバリットの頭骨シリーズ大)で、台座のプレートには標本番号のGMNH101が誇らしげ(?)に刻まれています。この様な博物館所蔵品のミニチュアは最上級のおみやげだと思います。現在科博で海洋堂製の「所蔵品再現モデルシリーズ」を販売していますが、こちらは食玩サイズで少々物足りません。カマラクラスのアパト頭骨やトリケラ骨格の科博みやげがあったら…金に糸目はつけないのに。
中里村恐竜センター(現・神流町恐竜センター)が出来た時(1987年)に、ゴールデンウィークの大渋滞の中、大変な苦労をして(なんと1日では辿り着かなかった!)行った時の収穫がこれ(写真2、3)。地元の人たちが「さあ村おこし!」とばかり色々な物を手作りして売っていました(秘宝館Vol.2にも写真あり)。写真 2はおばあさん達の手作りの一品で、後日おばあさん共々テレビのニュースで紹介されていました。写真 3は高さ35cm以上もある素朴すぎる木彫り…と言うかただ木をくり抜いただけの物。恐竜グッズとしてはともかく、どちらも20年前のあの日を思い出させる事は確かです。
写真 2
一昨年、惜しまれつつ閉館した埼玉県所沢のユネスコ村大恐竜探検館で開館時から売られていた非常に出来の良いソフビ・フィギュア(写真 4)は、恐竜ロボットでおなじみのココロ製で、同じ物が後に科博でもプレートを付け替えて売られていました。
2002年に千葉中央博物館で開催された「恐竜時代の生き物たち」展でマスコットキャラクターを勤めたのが写真 5のトリチロー君。なんとモデルは石川県白峰村で発見された白亜紀のキノドン類トリティロドンです。色々な意味で“レア”です。
最後にちょっと足を延ばして、長野県産の脱力系みやげをご紹介。篠ノ井の茶臼山恐竜公園は丘の斜面に実物大の恐竜像が点在する実にのどかな所。そこの数少ないオリジナルグッズのひとつが写真 6の木のプレートに恐竜像の写真をレリーフ化して貼った物で、手作り感が溢れているのはいいのですが、どうも飾り栄えがしません。
写真 7は蓼科高原に遊びに行った時偶然見つけた、柏木博物館と言う「金持ちが道楽で作っ私設博物館」という風情の化石博物館(額に入った魚竜などもあった)のショップで売っていた見ての通りの色紙です。なんでも地元の書道家の作品だとか。最新の棘付きディプロドクスみたいな絵が描いてありますが、勿論偶然でしょう。良く見ると肘が逆に曲がっていますし…。こんな物を博物館で売っていいのか!と憤りつつ、あまりの馬鹿馬鹿しさと話の種に思わず1500円も出して買ってしまいました。
次回は科博の絶滅グッズを中心に東京、神奈川辺りを漁ります。
田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。