古代魚のソフト素材を使用したあつめるフィギュア
小離鰭(しょうりき)と呼ばれる独立して並ぶ背鰭が特徴のポリプテルス・エンドリケリーのPVC製フィギュアです。コレクションしやすいサイズで、遊ぶだけでなくディスプレイとしてもお楽しみいただけます。
ポリプテルス・エンドリケリー Saddled bichir
分類 :ポリプテルス目/ポリプテルス科/ポリプテルス属
サイズ :体長約70センチメートル
生息地域:白ナイル川から西アフリカの諸河川や湖沼
アフリカの淡水域に生息しているポリプテルスの仲間は、過去に繁栄したこのグループの生き残りで、「生きた化石」として知られている。小鰭が連なった小離鰭(しょうりき)と呼ばれる背鰭が最大の特徴で、その名の由来となっている。体は特殊な硬い鱗で覆われ、胸鰭の付け根は肉質で、四肢動物の前脚のように、水中で体を支えることができる。鰾は肺に近い構造を持ち、頭部を水面から出し大気中の酸素を取り込むことで、乾期によって生じた酸素の乏しい過酷な環境でも生きることができる。エンドリケリーはポリプテルスの中でも大型の部類に属し、全長は最大で70cmを超える。体側の帯状模様は変化に富む。
監修者 守亜和由喜さん インタビュー
- エンシェント フィッシュ「古代魚」シリーズはフェバリットで新たにラインナップに加わった新カテゴリーとなります。まず“古代魚”とはどのような生物なのでしょうか?
- 古代魚と一言で言ってもいくつかの解釈がありますが、一番簡単に言ってしまうならば「古い形質を残したまま現在まで生き残っている現生魚類」ということが言えると思います。今回のシリーズではシーラカンスが一番歴史的に古く、シルバーアロワナは比較的新しくでてきた古代魚です。
- はるか昔から現在まで地球上で生き続けてきた“生きた化石”とも呼ばれる古代魚ですが、その太古の姿にはどのような特徴や生態、魅力があるのでしょうか?
- ポリプテルスの魅力は決してひとつに絞りきることはできませんが、やはりその最大の特徴はずらりと並んだ背鰭です。小離鰭(しょうりき)と呼ばれる一枚一枚独立して並ぶ背びれは他の魚類にはないポリプテルス類独特の特徴です。なかでもエンドリケリーは大型であること、下顎突出型と呼ばれる厳つい顔つきであること、長細いだけではなく背中が盛り上がり迫力のある体型であること、メリハリの利いた帯状の模様、そして最大の特徴である背びれは頭部の直後から数10枚ずらりとならび他の種には無い独特なシルエットを与えていることから、現生ポリプテルス12種の中でも一番人気があります。今回製作した他の3種に比べると知名度は一歩譲りますが、古代の大地を思わせる独特の赤茶色の体色と一度見たら忘れられないほどの風変りな体型は、この魚を知らない人ほど「こんな魚が今も生きているのか!」と思わずにはいられないのではないでしょうか。
- 塗装を含む原型製作を今回ご担当いただきました。それぞれどのようなコンセプトを元に製作されましたか?また、製作するにあたり特に注意された点はありますか?
- 魅力的なこの魚のそれぞれの見せ場をひとつ残らず詰め込みました。故に全てに注意し、全てを魅力的に表現しました。全身に入っている模様は監修者五十嵐氏による理想の個体を具現化しました。頭部に彫り込まれた頭骨のパターンを再現し、これだけでポリプテルス・エンドリケリーを種として同定することが可能な正確さです。タイル状に整然と並んだ鱗の1列にはよく見ると気が付くくらいの側線を彫り込んであります。長く手元に置いてもらって楽しんでもらえるようなものが作れたと思います。
- 魚類研究家の五十嵐 利明氏に監修を依頼いたしましたが、具体的にどのようなディスカッションがあったのでしょうか?
- 全体を見回す大きな視点と細部の正確さの両面で指摘をいただきつつ注意深く製作作業を進めました。立体物において最大の課題である「物としての存在感や量感」は画像だけでは伝わりませんので直接お会いしてプロポーションや全体の雰囲気、さらにはいまこの魚はどのような状態にあるのかというところまで話し合いました。また、細部の形状や数値にも指摘が入りました。つまりは鱗や鰭条の数や側線の形、模様の入り方などです。 また、魚の本来の姿は野生下で成熟したものであり、水槽などで飼われている個体は野生のものと比べると体型や細部においても少し差異がでてきます。ですが野生での環境は厳しく、成熟する間にヒレなどは裂けたりする場合もありますし、体にも多少の傷がつきます。そういった意味では今回のシリーズは野生の本来の姿を生き写しにしつつ、傷一つなく育ったある意味ではありえないくらいパーフェクトに理想的な姿を作り出すことが最大のコンセプトでした。
- 最後にエンシェントフィッシュシリーズについてコメントをお願いします。
- その魚が生きて泳いでいる姿を写し取るというのが最大のコンセプトです。活き活きとした姿をそのまま切り取ったような情景を感じてください。また一方でひとたび手に取れば、その魚の詳細な姿が浮かび上がります。彫り込まれた頭部や鱗を眺めてください。手の中でボリューム感を感じてください。飾って楽しむこと、手に取って遊ぶことの両方でお楽しみいただけたら嬉しいです。
監修者プロフィール
守亜和由喜(もりあ かずゆき)
自然史系造形作家。
「私的熱帯世界」をコンセプトにしている。造形、平面問わず幅広く表現し、個展やグループ展など多数開催している。
アクアフィッシュ ミニモデルの造形及び監修を担当。