新恐竜秘宝館

Vol.63 勝手に海竜展協賛!マイナー海竜フィギュア展

コロナの影響で、福井県立恐竜博物館の「海竜展」が1月まで延長され、それはそれで朗報なのですが、どのみち行けるわけではなく「カンケーねーや」とすねた挙句の特集です。ネットで紹介されている海竜展会場限定グッズは、お菓子やクッション、マグカップ、クリアファイルなどで期待のフィギュアは見当たらず、ならば我が海竜フィギュアコレクションで補完しようと思い立った次第。

 

とはいえ、既に魚竜類(新秘宝館Vol.60Vol.61)、モササルルス類(新秘宝館Vol.42Vol.44)、そして我が家の誇るケイチョウサウルスを含めたノトサウルス類(新秘宝館Vol.22)とフタバサウルス(秘宝館Vol.31)の鰭竜類は紹介済み。他の首長竜フィギュアはとても紹介しきれる数ではなく、それ以前にどれも似たり寄ったりで印象が薄く何処にあるか家探しをしないと判らない状態なので、後程、比較的少ない骨格フィギュアを紹介してお茶を濁すことにします。

 

で、今回のメインはあまり取り上げられることのなく素性もよく判らない、地味な中生代(一部ペルム紀)の海棲(や淡水棲)の爬虫類のコレクションです。

 

メルカリで手に入れた「海竜―恐竜時代の海の猛者たち」展の図録の表紙は猛者にひっかけたインパクト大のモササウルスですが、第1章では「海に進出した海竜たち」と題して、新秘宝館Vol.61 で紹介したミクソサウルス、シャスタサウルスなど初期の魚竜、それにケイチョウサウルスなどを説明、そしてこのコーナーの目玉は本邦初公開の実化石の数々。特に博物館HP特設サイトのおすすめは、タラットサウルス類のコンカピスピナ(Vol.61登場の我が家のタラットサウルスは何という種なのか未だ判らず)と、板歯類のグリフォデルマでした。

※福井県立恐竜博物館HP

https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/special/kairyu/assets/file/%EF%BC%91_%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%9E.pdf

※You Tube

https://www.youtube.com/watch?v=HUBD4MEnAKY

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このグリフォデルマ、実は地元の中国ではすでにフィギュア化されているのです(画像1)。制作はこのところ矢継ぎ早にグレードの高い新作を発売して頭を抱えるマニアを続出させている「PNSO」です。9cm程の食玩サイズですがご覧の出来。広げると裏がポスターになる解説書付きです。

 

板歯類は昔から図鑑などで「カメに似て非なる海棲爬虫類」と紹介されていて、古生物ファンなら誰しも見覚えはあるはず。しかし説明は「貝を食べる」事位で詳しいことには触れられず、見た目もパッとしないので、影が薄く人気のない古生物の代表と言っても過言ではありません。フィギュアの数も極僅か。

 

しかし今回書くにあたって、海竜展図録やネットを読んでみてわかったのですが、板歯類はなんと首長竜と近縁なのだそうです。意外でした。思わぬ勉強をさせてもらいました。

 

では数少ない板歯類フィギュアを紹介しましょう。

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ヘノドゥス(画像2

その独特な甲羅の形と愛嬌ある表情で板歯類フィギュア界の頂点に立っています、といってもたったこれだけですが。

 

左上は秘宝館ではお馴染みの、ヤフオクの一品物古生物モデラーsansyo88さんの作品。まず模型化されることの無いマイナー古生物(私も検索しないと判らない物も多い)を続々と作り続けているsansyo88さんの作品は、今回の様なテーマの時の心強い味方で、今回は4種類も登場願っています。その右は古生物造形師、徳川広和さん作のレアな根付。元々は古生物学会で販売されたそうです。下の段は左から、サファリの「先史時代の海棲動物チューブ」「プレイヴィジョン」(新秘宝館Vol.8)、そして新秘宝館Vol.59でも紹介した、70年代のライフライク社のジオラマキットに付属していたもの。ヘノドゥスと名乗るのは無理がありますが、キットに付いていた解説書に明記されていては致し方ありません。

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プラコドゥスとプラコケリス(画像3

*どちらもネット上に単独の解説無し。どこまでも目立たない存在です。

sansyo88さん(左)とプレイヴィジョン(右上)はプラコドゥス。プラコケリスはスターラックス(秘宝館Vol.6新秘宝館Vol.8)の右下のみですが、何故か甲羅がありません。

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海ワニ類(画像4

こちらも昔から図鑑でお馴染みなのはメトリオリンクスのみです。後は最近一般に知られてきたもの達で、格好は良いのですが、残念なことに情報はあまりありません。卵生か胎生かも気になる所です判らないそうです。このスタイルで海亀の様に砂浜に上陸して卵を産むとはとても思えませんが。もし胎生だったら主竜類唯一の存在です。

 

左上はサファリのプレシオスクス。残念ながら単独のネット解説はありません。

右上と左下はPNSOとサファリ「先史時代のワニチューブ」のダコサウルス

この2種類は見るからに強そうなのに、同時代のプリオサウルス類にとってかわって頂点捕食者の座に君臨できなかったのは運命のいたずらなのでしょうか。

 

残りはいずれもメトリオリンクスで、新秘宝館Vol.44に登場したアメリカ製ガレージキットのリオプレウロドンのおまけと、サファリの「先史時代の海棲動物チューブ」。それに海洋堂チョコラザウルスです。

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コリストデラ類(画像5)

海棲ではなく淡水に住む生物らしいですが、これも謎だらけ。代表的なチャンプソサウルス

(左:sansyo88と右上:サファリ「先史時代のワニチューブ」)は、昔から、せっかく新生代まで生き残ったのに始新世に絶滅してしまった残念な?爬虫類として図鑑には載っているし、多くの博物館に展示が有り、キャンプトサウルス(カンプトサウルス)と紛らわしいな程度に思っていたのですが、今年の夏の「恐竜科学博」の展示を見て「案外カッコいいじゃん!」と再認識していたら、秋の「博物ふぇす」に同じ思いをしたらしい方がこんなものを出品していました。

※twitter

https://twitter.com/maetomo5/status/1435087332927950848

大きさの割に少々高かったのでつい買い控えてしまいましたが、今になって後悔しています。

左下の椎骨は、ずいぶん前に研究者の方に頂いた、モンゴル産チャンプソの仙椎か尾椎のレプリカ。差し渡し13cm程です。

 

右中段は遼寧省産ハイファロサウルスの実化石。ハイファロサウルス化石は広く市場に出回っていて、ネットにはウィキペディアなどの学術情報サイトの代わりに販売サイトやオークションの情報がひしめき合っています。

なのでどんな動物か判りません…困ったものだ。

 

その下はやはり遼寧のモンジュロスクス(満州鰐)。これもヤフオク物なのですが、ホンモノかどうかは定かではありません。少し削ってみたらその部分は無くなってしまいました。よくできた偽物か、限りなく修正が加えられているのか…まあ飾り映えがするので良しとしています。

 

この様にコリストデラ類は三者三様で、共通する特徴は後頭部の骨の形らしいのですがシロートには何のことやら。

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オドントケリス(画像6

もうずいぶん前になるカメ特集(新秘宝館Vol.12)の時にはまだなかったオドントケリスのフィギュアです。またもやsansyo88作品とPNSO製。今回はこの両者にたいへんお世話になりました。そして追い打ちをかけるようにPNSOのアトポデンタトゥス。5年ほど前に実像が分かったばかりの謎の海棲爬虫類です。中国恐るべしです。

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ペルム紀の海棲動物(画像7

左はマダガスカル産海棲爬虫類。胴体の部分はホヴァサウルスの実化石でネガポジになっています。

頭はクラウディオサウルスのレプリカ。

ただ胴体のみのホヴァサウルスは実はクラウディオサウルスの誤認ではないかと密かに期待をして頭と胴体を並べているわけです。どのみちホヴァにしろクラウディオにしろ、ネットの解説を読んだところで分類すらよく判らない、似たような形の海棲爬虫類なのです。

そんな事より、これらの化石、ミネラルショーで馴染みになっているイタリアのフラビオさんというディーラーから買ったのですが、

じつはこの方、ついこの間ニュースで流れていたフランスのオークションで8億円で落札されたトリケラトプス「ビッグジョン」を、組み立てて競売にかけた張本人だったのです。もうビックリです!

 

右の二つはブラジル産メソサウルスのレプリカですが、黒い方はもしかしたら我が家の古生物レプリカ第一号かもしれません。80年代前半の話です。メソサウルスは日本では昔から、どういうわけが化石と言うよりは壁に飾る装飾品として取引されていたようで、かって、まさかの世田谷ボロ市で、額に入ってべらぼうな値段で売られていたのが忘れられません。

メソサウルスは実は爬虫類ではなく、有羊膜類の中竜目というグループに属するそうです。化石を見てもピンときませんが。

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首長竜骨格(画像8

最後に馴染みの海竜に戻ってこられて正直ほっとしています。簡単に紹介しましょう。

 

上段:ジオワールドの発掘キット、エラスモサウルス/純中国製でパッケージが全て漢字表記なのでメーカー名すら判らないプリオサウルス。これも発掘キットで、色を塗っています。/元々は明治チョコの食玩(秘宝館Vol.44)だったプレシオサウルスに彩色してアンモナイト付きベースも制作したのは、何かとお世話になっている恐竜おもちゃの博物館の館長さんです。

 

中段1:ゼンマイ走行のプレシオ(メーカー不明)/食玩「発掘恐竜カセキングのプレシオ(タカラトミー)/科博カプセルミュージアム・フタバスズキリュウ(海洋堂)/明治チョコボール恐竜の国のプレシオ/サッポロボーイおもしろカップのプレシオ。緑の消しゴム2つは出所不明です。右に移って海洋堂ガチャ「恐竜発掘記」のプリオサウルスとチョコラザウルスのプレシオサウルス/アメリカン・トイ「ボーンエイジ」のプレシオ。いろいろ仕掛が組み込まれているのですが、遊び方判らず残念。

 

中段2:「日本の恐竜化石を復元しよう」というタイトルの工作本のペーパークラフト、1/10フタバスズキリュウ(二見書房)/ベネッセの段ボールクラフト、フタバスズキリュウ。パッケージにはFutabasaurus suzukiiの学名も書かれています。大きすぎてせっかくの台座に収まらないのが悲しい…。

 

下段:DOMの白木のプレシオ(大)と小ぶりな首振りプレシオ(メーカー不明)/中国製貝細工

 

マイナー海竜展は以上です。

 

 

このところ毎年楽しみにしている「日本画恐竜展」が今年も11月に開かれました。とても気持ちのいい空間です。こちらのレポートから雰囲気が伝わってくるかと思います。

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で、今回我が家にお迎えしたのは、江越里南さんの「やすらか」と題された作品。嬉しいことに孔子鳥骨格です。なので我が家の孔子鳥を総動員してお出迎え。(画像9

孔子鳥フィギュアは何故か少なく、我が家にあるのは秘宝館Vol.64で紹介済みのガレージキット(あぁ炎の新選組)と、また出たかPNSOのミニモデルだけでした。

下の頭骨は確証は無いのですが,もしかしたら孔子鳥…。もう20年以上前に遼寧省の朝陽の化石店で購入した化石をクリーニングした物です。ビックリするほど安かった記憶があります。その店で高価な値札が付けられていたのは額に収まって縁起が良さそうな漢字が直接書かれた亀などの化石でした。

 

さて話は変わって、またも見つけてしまいました。60年代、小学館の学年別月刊誌に不定期に、しかも学年をまたいで様々な形式で掲載された、コナン・ドイルの「ロスト・ワールド」を原作とした「ナゾの恐竜王国」です。これで3作目(前回の新秘宝館Vol.62をご覧ください)。今回は1969年の小学四年生6月号で、石川茂(文)江波譲二(絵)が担当。何故かタイトルの「なぞ」がひらがなになっています。登場人物は原作どおりの4人ですが、ページ数が縮小され大幅なダイジェストになっています。探検のきっかけになった顛末はあらすじ風に語られ、例えば台地でイグアノドンを発見してから翼竜の沼で襲われるまでを

 《「みろ、恐竜だ。」5メートルほどむこうの草地で、5,6頭の恐竜があらそっている。と、そのとき、4人の頭上に、まっ黒なあくまのようなすがたのよく手竜がおそってきた。》

で済ましてしまっています。ランフォリンクスはしっかり描かれていますが、恐竜は頭だけの出演で、表紙を入れても4体、しかも遠景です。(画像10

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このぶんだと学年別の「ナゾの恐竜王国」はまだまだありそうです。見つけるのは運任せですが。

 

 

お詫びと訂正

「Vol.60 」でメアリー・アニングの本「海辺のたから」を紹介したのですが、出版社名を間違えていました。「めぷん児童図書」と書いたのですが正しくは「ぬぷん児童図書」でした。この間違いは読者のご指摘で判ったもの。とてもありがたい事です。私はライフワークで日本で出版された恐竜本のリストを作っているのですが、そちらの方も訂正できたのは嬉しい限りです。ありがとうございました。この「ぬぷん」という聞き慣れない単語、何かと思って調べてみたところ、どうやらアイヌ語で「原野」あるいは「山の方」という意味らしいです。

 

この「ぬぷん児童図書版」という会社の情報はネットで探せず、現存するかは不明なのですが、お詫びの意味もかねて、この会社が出版したもう一冊の恐竜絵本を紹介しておきましょう。

TOM」ダニエル・トーレス著

 

美しい絵本です。1997年の出版ですでに絶版の様ですが、中古が豊富にあるようです。

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さて今年も残り僅か。久しぶりにシンクレアのGSに灯りをともしました。(画像11

 

メリークリスマス。良い年をお迎えください。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。