新恐竜秘宝館

Vol.43 「モササウルスは生きていたけど・・・」

前回あれほど期待して特集まで組んだのに、「JW炎の王国」でモササウルスの雄姿を拝めたのは最初と最後のほんの数十秒だけでした。しかも殆どが予告編で公開されていたシーン。To be continued …これはもう体をいたわりつつ3年待つしかありません。気晴らしにネット画像のヘリコプターやサーファーのシーンから全長を考えてみました。頭だけで5〜6mは有りそうです。骨格図を見ると、種類によって差は有りますが、全長はその7倍以上はあるので、シロナガスクジラを軽く上回るという事になります。ちなみに新刊書「サメ帝国の逆襲―海洋生命5億年史(土屋健著)」はモササウルス類にやたら詳しい本なのですが、1mの頭骨のみが見つかっている個体の推定体長を8m以上としています。

こんな海の怪物に対抗できるのはお笑い系のメガシャーク(飛んでいるジャンボジェットに食らいつき原潜を丸のみ。推定体長は150〜300メートル!)しかいないと思っていたら、映画館に置いてあった小冊子「シネコンウォーカー」に9月公開の「MEGザ・モンスター」の紹介記事が…。昔読んだ、1997年のスティーヴ・オルテンの小説「メガロドン(最初の訳書のタイトルがMEGでした)」の映画化。もちろんあの古代鮫カルカロドン(最近ではカルカロクレスと呼ばれる事も多い)・メガロドンが生き残っていて人を襲う話です。懐かしさのあまり当時の本を本棚からひっぱり出してみたら、帯に「’98夏映画化決定!」とありました。結局お蔵入りになって20年後に陽の目を見たということで、これは目出度い!見逃せません。後は、あまたのお馬鹿サメ映画と一線を画している事を願うばかりです。ちなみに予告編のMEGの雰囲気はJWモサにそっくりです。https://warnerbros.co.jp/movie/megthemonster/

「JW炎の王国」は大ヒットしている様で、これも目出度い!私は2度観に行きましたが(2Dと3D)どちらもほぼ満席でした。突っ込みどころは満載ですが大いに楽しめました。ネタバレしない程度に疑問点を挙げると

●インドミナスの骨の採取(=モササウルス逃亡)はどの時点の出来事?骨のDNAを使って作られたというインドラプトルは何歳?
●そもそも実験室で作られたインドミナスのDNAを改めて骨から採る必要があったのか?
●トリケラ頭骨の角、都合良く上を向き過ぎだし、1トンはありそうなインドラプトルが落ちてきてもびくともしないとは、いったいどんな材質で出来ているんだろう?
●逃げ遅れたブラキオサウルスは涙を誘う名演技を披露。しかし竜脚類はたしか泳げるはず。現に1作目ではブラキオが湖から上ってくるシーンも。なんで海に飛び込まないの?
●ステゴサウルスの歯が大きすぎる。

限が無いのでこの位にして、フィギュア集めのその後を報告いたします。

*前回紹介したフィギュアのうち、メトリアカントサウルスとディモルフォドンは画面で確認できず、ディロフォサウルスは模型のみの出演。逆にまだフィギュア化されていないシノケラトプスがなかなかの存在感で、フィギュアが欲しいところ。
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(画像1)ミニフィギュア
不覚にも集め始めてしばらくは気がつかなかったのですが、同じパッケージなのに「MINI DINO」と「MINI ACTION DINO」の 2種類あって、大きさこそ同じ食玩サイズですが別物でした。「MINI」の方は殆ど無塗装で可動部もありません。ヨドバシカメラやトイザラスで300円程で売られています。輸入玩具店などで手に入る「ACTION」の方はどこか一か所(頭・顎・足・尾など)が動き彩色も施されています。前売り特典に付いていたのはこちらの方です。一体1000円程。どちらも中身は見えないのですが、触ると何が入っているかほぼ判ります。写真の対になった恐竜は左がMINI、右がACTIONです。
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(画像2)ブルー
今回の主役恐竜だけあって、フィギュアの数も断トツです。写真上の奥と下は一番くじの景品。45cm位あります。一番くじの事を知らなくて、ヤフオクで15000円程で手に入れたのですが妥当な金額だったようです。オークションの画像ではどれもビニールに入っていて細部が判らず不安が有ったのですが、届いてみたら思わぬ出来の良さに大満足。
手前にいるのは左から、マテルの「アタックバック」(日本版名はミニアクションフィギュア)シリーズ/「MINI DINO」/「MINI ACTION DINO」/「アニア」(タカラトミー)/メタコレ(タカラトミー)/そしてマテルの、オーウェンのバイクと連結して走る(前作の名シーンですが)ギミック付きのもの。マテルのフィギュアは「オーウェンとベイビーブルーセット」などあと3種類ほどあるのですが、あまりの数の多さに弱気になって買うのを控えています。でも結局は買ってしまいそうな予感が…。
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(画像3)インドラプトル
対する悪役のインドラプトルのフィギュアは何故か少ないので助かります。手に入れたのは僅か3点だけ。大きいのはマテル製で各関節可動でなかなか遊べる40cm程のアクションフィギュア。マテルからはもう一種、吠えたり目が光ったり等ギミック満載のフィギュアも出ていますが、まだ日本ではお目にかかっていません。手前左は「MINI DINO」、右は一番恐竜っぽい「アニア」。
*幼児のオモチャなのにあまりにも高価なので、今回も見て見ぬふりをしているレゴのJWシリーズに、ロックウッド邸のプレイセットが登場。ドールハウス仕立てで家の内部もそれなりに出来ていて(トリケラの頭骨も有り!)インドラプトルとブルーと登場人物6人の人形付きと、ちょっとそそられますが…我慢ガマン。
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(画像4)スティギモロク
まさかこんなに活躍をするとは!これでマイナーだったこの恐竜の名も一躍有名になるかと思ったら、セリフにはスティギモロクの名は出てきませんでした。しかしフィギュアには「スティギー」と愛称まで付いています。

上の写真左からマテルの「アタックパック」(マテルからは他に頭突きギミック付きの物と開閉式傷口がついた「バトルダメ―ジ」が出ています)/「MINI DINO」/「MINI ACTION DINO」そして一番出来が良いアニア。これだけではちと寂しいので下は応援団です。左から1/20ガレージキット(アルカード・秘宝館Vol.24に登場)/サファリ/ジオワールド。そしてついでにスティギモロクの幼体ともいわれるドラコレックス(コレクタとサファリの頭骨チューブ)。もっともスティギモロクもドラコレックスもパキケファロサウルスの成長過程にすぎないとする説もあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/スティギモロク
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書籍も紹介しておきましょう(画像5)。
映画誌は当然取りあげていますが、表紙に恐竜がいるのは「DVD動画配信でーた」だけ。主演のクリス・プラットを表紙にしたのは「ムービー・スター」。「映画秘宝」と「スクリーン」はそれぞれ「大恐竜博覧会」「恐竜原色大図鑑」と題して恐竜を紹介しています。いずれも7月号。
ニューズウィーク編集のムック「JURASSIC PARK」(メディアハウス)は公開25周年シリーズ完全ガイド、炎の王国の見どころなど、充実した内容です。
J:COMマガジン7月号の表紙もティラノと滝川クリステル。CSもJPシリーズや恐竜ドキュメンタリー番組を沢山放送していました。
ノベライズ本も小学館から出ていますが、著者が坂野徳隆という日本人になっています。アメリカ版は前作同様デイヴィッド・リューマン著となっていて謎です。小学館文庫と小学館ジュニア文庫から出ていますが表紙も内容も同じ。ジュニアの方が幾分大きく、ルビがふってある分行間が広くて読みやすいし、巻頭に写真ページもあるのでお得です。ジュニア文庫からは、シリーズのヒロイン、クレアが、開園準備中のジュラシック・ワールドに研修生として派遣された時のエピソード「ジュラシック・ワールド0」も出ています。まだ読み始めたばかりですが面白そうです。そのクレアが今回の「炎の王国」騒動の前、「恐竜保護団体」の責任者として、団体独自でイスラ・ヌブラル島から恐竜を救出するという極秘計画の参加メンバーのために作った、恐竜の資料及び注意事項という設定の「恐竜サバイバル図鑑」(KADOKAWA)は子供向けながらなかなか凝っていて楽しめます。子供向きでは他に、昨今流行りのスマホをかざすと恐竜が動き出す「ビックリ3D図鑑JW炎の王国」が岩崎書店から出ましたが、スマホの無い私にはどんなものやら…。

「炎の王国」フィギュアはまだ増えますが(例えばセガのクレーンゲームの景品とか、コンプリートを目指してしまいそうで怖いブルーフィギュアとか)それは次回に回して、今年の「博物ふぇすてぃばる」の戦利品披露とまいりましょう。
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毎年楽しみにしているハサミックワールドさんのブースで、今年は大物を買ってしまいました。B4サイズの立体額に収まったシノサウロプテリクスの羽毛付き骨格です。これはもはやアートです。しみじみと観賞しています(画像6)。
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レギュラーサイズ(10cm程)のカウディプテリクスも我慢できず購入(画像7)。こちらもなんとも美しい…。
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恐竜陶芸家の伊藤たかをさんからは、水晶宮のイグアノドンとメガロサウルス。これはやられました。19世紀恐竜と陶器のコラボはいにしえ感満点です。(画像8)
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そして去年買いそこなった(鼻行類を買ったおかげで…)、「サンガッツ本舗」のディプロカウルスです。(画像9)
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現在、群馬県立自然史博物館で開催されている企画展「化石動物園」に我家のザンゲオテリウム(新秘宝館Vol.27に登場。その時はツァンヘオテリウム)が出張しています。なかなかの厚待遇で、博物館だよりにも大きく写真が載っているし、図録の表紙のど真ん中にも鎮座しています。おまけに驚いた事にTシャツにもなってしまいました。我家の誇りです。機会がありましたら見てやって下さい。(画像10)


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。