Vol.13 秘宝館の全貌〜其の七 危険!翼竜在中
温血説といえば、恐竜よりも先に翼竜で唱えられていた様です。体毛についても、1970年に「毛の生えた悪魔」ソルデスが発見されてからというもの、もう当たり前のように、例えば真っ白な毛に包まれたプテラノドンが大海原の上を優雅に舞うといったイラストが、恐竜本のページを飾るようになりました。後には飛行機並のケツァルコアトルスや奇怪な頭をしたタペジャラ等も次々と発見され翼竜の人気は鰻上り。フィギュアもラックから溢れんばかりかと思いきや、前回の海棲爬虫類に続き、またしても棚一段に収まってしまうという寂しさ(写真1、2)。まあ模型にした場合、頭と尻尾を除けばどれも似たり寄ったりという弱点は確かにありますけど。
写真1の中央のプテラノドンは翼長80cmにもなる巨大なレジンキット。ガレージキット創生期の物です。マヤの遺跡に立つケツァルコアトルスは大阪のメーカー、エンドルフィンらしいシャレが効いています。写真2は別の角度から見たところで、荒木さん作の1/35翼竜セット等、海洋堂の作品が見えます。
しかし翼竜モデルといえば未だに大半がプテラノドン!プテロダクティルスなどを実物大で作ったらどんなに楽しいだろう…と話を持ってきたところで、今回の主役の登場です。
プテロダクティルスの「だくちる君(仮称)」です(写真3)。発泡ウレタンの皮膚が熱や湿気に弱いので普段は「危険」と書かれた木箱に住んでします。兄弟は2羽いてユネスコ村大恐竜探検館のアパトサウルスの首の上にとまっているそうです。翼長60cm位、首と翼と足は針金入りで可動します。どうです?まるで生きている様でしょう。と自慢してもらって気を良くしているだくちる君に、仲間の化石レプリカを紹介してもらいましょう。
翼竜のレプリカは沢山出ていて、比較的手頃な値段で手に入る物もあります(写真4、5)。そして写真5のランフォリンクスの下の、だくちる君が眺めている額に入ったたいそうな物は、実はドイツ製のレターセットなのです!(写真6)。紙製ですが化石の部分はレリーフになっているというスグレモノ。10年以上前に、一時ハンズ等で400円位で売られていましたが、その後見かけません。下手なレプリカよりも本物に近い質感と細密さで、とても紙とは思えない出来。他に魚数種とウミユリ、そして始祖鳥ベルリン標本があります。これは是非とも再輸入して欲しい一品です。フェバリットさん、いかがですか?
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田村 博 Hiroshi Tamura
ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。