新恐竜秘宝館

Vol.19 やきもの恐竜図鑑―欧米編

前回、作品を紹介させていただいた、陶芸家の伊東たかをさんが、名古屋で『青白磁のうつわとやきもの恐竜博』と題した個展を開かれます。お近くの方は是非!http://takaryo.jugem.jp/?eid=155

さて今回は欧米編、まずは「恐竜」発祥の地イギリスから。19世紀の半ば、ヴィクトリア朝時代のイギリスは恐竜ブームに沸いていたそうです。1842年に“Dinosauria”が誕生。1851年にはロンドン万博の水晶宮に実物大恐竜模型が展示され(秘宝館Vol.39をご覧あれ)、翌年にはあの文豪ディケンズの小説「荒涼館」に情景描写として「メガロサウルスに出会っても不思議はない」の一節が登場します。それだけ世間の恐竜への認知度が高かったということなのでしょう。(同様な使われ方で、1902年のコンラッドの小説「闇の奥―映画・地獄の黙示録の原作」にイクチオサウルスの名前が出てきます。)ですから、当時の陶磁器(いや決してシャレたわけでは…)の恐竜模型や、化石を抱いたビスク・ドールがあってもおかしくは無いはずで、「これぞ前々世紀の恐竜!」(“前世紀の恐竜”より古そうでしょう?)と、思いっきりどや顔で紹介できたら最高なのですが、現実には19世紀の恐竜グッズは夢のまた夢です。

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写真1  「Wedgwood」の皿。カレンダープレートと呼ぶそうですが、カレンダーになっているいわれは判りません。

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写真2  「Wade」製、5cmほどのミニチュア。下段は1993年,上段は2008年のシリーズ。ちなみに「Wedgwood」は1789年、「Wade」は1810年の創業だそうなので、「ヴィクトリア朝恐竜」が存在したかもしれません。

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写真3  「Holland Studio Craft Ltd.」のヴェロキラプトル(1993年)全長22cm。購入した場所は「ロイヤル・ティレル博物館」です。

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写真4  「North Light」製プレシオサウルス幼体。(2004年)これはレジン製と明記されていますが、なかなかいい感じなので…。18cm位の物です。

次はドーバー海峡対岸のフランスへ。

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写真5  「フェーブhttp://natsujikan.jp/?mode=f8
手前はジュラシック・パーク物。最上段は進化とテーマにしたシリーズで、中央の人物はダーウィンです。恐竜関係だけでも沢山のシリーズがあるようで、とても集めきれません。

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写真6  も同じくフェーブですが、こちらはアンティーク物だそうでなんとも素朴な味わい。ディプロドクスとホラアナグマVS原始人です。熊の方は、どうやら1980年に出版された冒険小説「ケーブ・ベアの一族」のワンシーンの様なので、そのころ作られた物なのでしょう。

イタリアはなかなか充実しています。

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写真7  巨大な置き物。詳細は不明です。左の竜脚類と翼竜は高さ35cm強、右の竜脚類は長さが50cm程もあります。飾る場所に困る代物。

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写真8  「Castagna」のとても丁寧に作られた15〜20cmほどのミニチュア。(1988年)

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写真9  メーカー、製造年不明。シャープさはありませんが、塗りは綺麗です。ほぼ同じ造型で半分程の大きさのシリーズもあります。

最後に大西洋を渡ってアメリカへ。レジン製とおぼしき物も混ざっていますが、どさくさにまぎれてご紹介。

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写真10  「Windstone Editions」1980年代後半から90年代にかけて発売され、いっとき日本でも結構見かけた物です。20cm位ですがやたらと重いです。

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写真11  「Island Enterprises」の1986年のシリーズ。この時期アメリカでは恐竜の孵化シーンが流行ったのでしょうか?90年代初期の恐竜グッズ大爆発(以下DGE)の時に、東急ハンズあたりで購入した物。

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写真12  この凄まじい一品には何の表記も無いのですが、⑪と一緒に購入した記憶があるので、一応アメリカ製としました。高さ15cm程。

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写真13  「Aus-Ben Studios」これはレジン製ですが、よく出来ています。ティラノサウルスで20cm程。1987年製。独特なトリケラトプスは秘宝館に何度か登場して、その度に「格好悪い」とけなされています。

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写真14  「United Design Corp」の「DINASOUR DYNASTY」シリーズ(1987)これも軽いのでレジン製でしょう。台座が10cmほど。ゴツゴツした作りがいい味を出しています。

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写真15  左も「United Design Corp」製ですがシリーズが違うようです、シールに「Stone Critters」と記されています。右は「Corlett Collectibles」の1990年製、15cm程のブロントサウルス。

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写真16  25X20cmの巨大でとても重い貯金箱。底にゴムのふたが付いているのですが、硬貨がたまったら持ち上げられそうにありません。

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写真17  これも貯金箱(36cm)。これと

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写真18  写真18のトリケラトプス(15cm)はアメリカ製かどうか定かではないのですが、非常に綺麗です。特に⑱のキラキラ感は写真では充分にお伝えできないのが残念!

以上のアメリカ物は、そのほとんどがDGE時に購入したもの。これに加え前回のアジア等の物や、陶器以外のDGE物に費やした金額を考えると愕然とします。大爆発をもろに浴びた感あり。それまで飢えに飢えていた恐竜グッズがいきなり目の前に大量に出現したものですから、パニック状態で見境無く買い漁ってしまったのです。「なんでこんな物を?」というのも少なからずあります。その代表を紹介して、この項を終わりたいと思います。

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写真19  今だったら絶対に買わない、縦横25cm以上もあり、置場所が無く部屋の隅に転がっているのがちょっと悲しいキャンディボックス。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。