新恐竜秘宝館

Vol.52 初登場!新生代の絶滅哺乳類

今年もよろしくお願いいたします。今回は新しい年の第1回目にふさわしく「新生代」。実は最初、タイトルを「謹賀新生代」にしようと思ったのですが、ただでさえ寒いのにあんまりなのでやめました。それはともかく、長い秘宝館の連載にも何故か殆ど登場した事が無い、新生代絶滅哺乳類のコレクション(中生代の哺乳類は単弓類の項で紹介済み)を一気に紹介いたします。

とは言っても、恐竜とは違い、関心が無いわけでは決してないのですが、あまり知識が無く耳なじみの無い名前も多いので、ここはひとつウィキのお世話になる事にしましょう。お馴染みウーリーマンモスとスミロドンのフィギュアは星の数ほどあるので紹介しきれませんが、それ以外の絶滅哺乳類シリーズの常連はここで把握しておきたいと思い以下に列挙しました。(マンモス以外の象、スミロドン以外の剣歯虎は別枠で紹介します。)

 

アルシノテリウム

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ウィンタテリウム

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ブロントテリウム

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メガテリウム

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グリプトドン

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カリコテリウム

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(またはモロプス

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ケブカサイ

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マウラウケニア

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アエピカメルス

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エンテロドン

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(またはダエオドン

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パラケラテリウム(バルキテリウム/インドリコテリウム)

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アンドリューサルクス

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できればこれらの動物の姿かたちを目に焼き付けてからコレクション写真をご覧ください。これら以外の動物の説明でいっぱいいっぱいになると思われます。

 

ではまずはウーリーマンモス以外の長鼻類フィギュアから。


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(画像1)いきなり今回の目玉です。以前、秘宝館Vol.56で箱だけお見せした、PALMER社製のプラモデル「AMERICAN MASTODONを作ってしまいました。前回に続いて「この機会を逃したら一生作らないだろう」シリーズです。しかしプラモデル創世記のキットは思った以上に難物でした。バリだらけでパーティングラインは段差くっきり、組んでも隙間だらけと、修正するのにかなりの手間がかかりました。おまけに今回組んだのはセカイモンで手に入れた組立途中で放棄された物で、いいかげんに接着されていたのでそれをはがす所から始めなければならない始末。でも、1960年頃のある日、一人のアメリカ人少年(と勝手に推測)がワクワクしながら箱を開け作り始めたプラモデル(何故放棄されたのか?飽きただけなのかやむを得ない事情で断念したのか?)を60年を経て私が完成させたのは何か凄いことではないかと、今ではひとり悦に入っています。PALMERのマストドン、完成して見るとなかなか立派ではありませんか!ほぼ同スケール(1/20位)のウーリーマンモスナウマンゾウ(学研・秘宝館Vol.60)とのスリーショットも撮ってみました。マストドンは少々大きめですが、個体差という事で…。

*このキット、ネット検索で引っ掛った完成品の写真は一件のみ。しかもそれも無塗装で整形もしていないので、もしや私の作品が海外の愛好家の眼に止まるのではないかと期待して、英語表記してみた次第です。


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(画像2)左側のデイノテリウムゴンフォテリウムBULLYLAND。右側はCOLLECTA。手前の金属製の3体には「野尻湖のナウマンゾウとの刻印が。その右はプラティペロドンのガチャポンや食玩で、ユージンの「NHK地球大進化」「恐竜大図鑑」、その隣は味覚糖「コレクト倶楽部」。


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(画像3)秘宝館Vol.6新秘宝館Vol.8に登場のSTARLUXPREHISTOIREシリーズの長鼻類は、進化の跡が辿れるほど充実しています。左端のモエリテリウムからデイノテリウム亜目とゾウ亜目に分岐、ゾウ亜目はプラティペロドンアナンクス(ゴンフォテリウム科ですがカタログではマストドン類)、そしてマンモスへと進化したといった具合。

 

ゾウの進化はこちらで

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http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/zetsumetsu_shin/

 

ウーリーマンモス以外のマンモスフィギュアは、最近元気がいい中国系のメーカーのひとつ、Eofaunaから ステップマンモス(トロゴンテリーゾウ)が発売されていますが、残念ながら未入手です。

この辺りで象を離れ、その他の絶滅哺乳類フィギュアを見てみましょう。


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(画像4)まずは続きでSTARLUXから。常連さん以外には

シンテトケラス

ティタノティロプス

ホラアナグマ

 

一匹とばした(不覚な事にディキノドン類が混ざってしまいました)剣歯虎は、スミロドンでは無く

マカイロドゥス

 

そして常連アエピカメルスをはさんで2頭のウマ

パレオテリウム

ヒラコテリウム(エオピップス)

 

造形や塗りは雑(よく言えば味がある)なのですが、そのラインナップは他を圧しています。

 
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(画像5)上段左の3種はMARX秘宝館Vol.5)。中央のメガテリウムはMILLER1950年代)製でかなり希少な物。右の2種は大英自然史博物館製(秘宝館Vol.41)。下段左はNABISCOのシリアルのおまけ(秘宝館Vol.55)。白いのもシリアルのおまけでSHREDDIES50年代・新秘宝館Vol.8)。小さいのはパレオテリウムです。右の2体はメーカー不詳

 
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(画像6)BULLYLAND

左端はメガロケラス

2頭のたてがみ付きスミロドン。何故か可愛らしいホラアナグマ。小さな馬はヒラコテリウムの後を継いだアンキテリウムです。


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(画像7)COLLECTA

新しいだけあって良い出来です。特にエラスモテリウムの毛並みは印象的。

 
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(画像8)3体はシュライヒ。4足歩行中のメガテリウムは珍しい。右は中国のAAAというメーカーの物で、ヒアエノドンは他では見かけないアイテム。


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(画像9)GEOWORLDの発掘キット「アイスエイジ」シリーズのホラアナグマとグリプトドンの骨格。グリプトドンはなんと装甲が外せるスグレモノです。このシリーズ、現在は出回っておらず、メガテリウム骨格もあったのですが手に入れ損ないました。残念!

小さな頭骨セットは、サファリの「先史時代の哺乳類スカル」チューブです。


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(画像10)海洋堂

アルシノテリウム頭骨(山崎繁原型・1/5位)はかなりレア物だと思います。山崎さんはティラノをはじめいくつもの恐竜骨格を手掛けた方。(秘宝館Vol.26Vol.31

その横のウーリーマンモス(山下伸一原型・1/35)も海洋堂初期のガレージキットで貴重な物です。

下は食玩と2014年の科博「太古の哺乳類展」の会場限定ガチャ、ゴンフォテリウム、ナウマンゾウ、デスモスチルス、トロゴッスス。右奥の象の生体と頭骨はナウマンゾウ。チョコラザウルス第4シリーズの物ですが、頭骨は哺乳類展の物より良い出来です。

*科博で売られている収蔵品再現モデルにアルシノテリウム頭骨があるのを忘れていました。こちらで見る事ができます。


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(画像11)あおむらさきプロダクト

秘宝館Vol.64新秘宝館Vol.27で紹介した達人ガレージキットメーカーの秘宝館初披露の哺乳類。グリプトドンとドエディクルスは紹介済みの単弓類と同一の1/20スケール。バルキテリウムはほぼHOスケールなので、同スケールのパラサウロロフス(あおむらさき)とハンター(プライザー)を添えてみました。


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(画像12)現在もヤフオクで個性的な作品を発表し続けているsansyo88 さんの絶滅哺乳類たち。我家のsansyo88 作品は、新秘宝館Vol.21の頃よりはだいぶ増えましたが、最近は愛好家が増えたのか落札するのがいっそう困難になってきています。左から2番目は肉食有袋類のティラコスミルス。奥は何故か下顎に鞘があるスミロドン(骨には鞘は無いのですが)。そして私も知らなかったツァイダモテリウム

sansyo88 さんのユニークな解釈の、穏やかな顔をした古生物達は、リアル志向の現在の古生物フィギュアの中にあって一服の清涼剤の感ありです。個人の作品ならではでしょう。

 
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(画像13)さて、締めはスミロドン以外のサーベルタイガーです。

左はディニクティスのレプリカ。数年前のミネラルショーで、ややブラックジョーク的な味わいとお手頃価格だったので購入。哀れなホモ・サピエンスはただの飾り台です。ディニクティスはニムラブス科(偽剣歯虎などと失礼な言い方もされるネコ科とは別のネコ亜目)に分類され、2000万年前には絶滅しているので、人類とは遭遇していません。原始人がティラノと戦う図と同じ事です。もし本当にこんな化石が見つかったら、キリスト教創造論者は大喜び。そしてSFファンはタイム・スリップの証拠と大騒ぎするでしょう。

「ディニクティス」日本語にすると古代魚と同じで紛らわしいですが学名は違います。 

右上は、やはりニムラブス科のユースミルス。下はSTARLUXからも出ていたマカイロドゥス。いずれもBULLYLANDの物です。

偽も含めてもスミロドン以外の剣歯虎がこれしかいないのは、ちょっと寂しいですね。

*最近読んだ、新生代を舞台にしたSF小説「大進化どうぶつデスゲーム」(草野原々・ハヤカワ文庫2019)は、ある日突然、進化した猫が支配する「ネコ宇宙」に書きかえられてしまった世界をヒトの手に取り戻すため、「万物根源」に選ばれた同じクラスの18人の女子高生が、800万年前、中新世の北アメリカにタイムスリップし、進化しはじめた猫を根絶やしにして進化猫の元を断ち「ヒト宇宙」を取り戻す話でした。女子高生の生態が事細かに描かれ萌え萌え?な一方、随所に挿入される科学解説がハードSF感を盛り上げます。マカイロドゥス、モロプス、シンテトケラスなど、時代地域にふさわしい古生物も登場。つけられたキャッチコピーは「青春ハード百合SF群像劇」。楽しめました。

そして「大絶滅恐竜タイムウォーズ」と題した続編も有りまして、同じメンバーが同じシチュエーションで今度は世界を「進化したトリ」から取り戻すために白亜紀に向かうのですが、その後の展開はまさかの大暴走。裏表紙に書いてある通り「前作読者の期待を大きく裏切るの超衝撃的な問題作」でした。ドタバタハードSF…何故かその昔、あの筒井康隆の人体パイ投げ短編「トラブル」を読んだ時の感動?を思い出してしまいました。


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(画像14)最後にこちらで和んで下さい。1993年頃のカップヌードルの、ストップモーションアニメを駆使した名CMhungry?」のノベルティグッズ。マンモス、シンテトケラス、ブロントテリウムです。


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田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。